小池知事「合意なき決定」森会長「ワンチームで」30分で終わった4者協議
東京五輪のマラソン・競歩会場の札幌移転問題で、国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長、大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪担当相らによる4者協議が1日、都内で開かれた。札幌移転を「決定事項」だとするIOC側に対し、小池知事は「都として決定に同意できないが、IOCの決定は妨げない」と移転を事実上容認した。森会長やコーツ委員長からは、小池知事の発言を受けて「ワンチーム」という言葉も聞かれたが、協議はマラソンと競歩の札幌移転を決定して、30分ほどで終わった。 【動画】五輪マラソンは札幌移転で決着 IOCや都など4者協議
●札幌移転の費用は都に負担させない
「スピーチをしてもいい? それともイエスと言えばいい?」 コーツ委員長から前日までの協議で合意した4項目について意見を求められた小池知事は、コーツ氏に目線を向けた後、笑みを浮かべながら切り返した。 この4項目とは(1)会場変更の権限はIOCにあること、(2)マラソン・競歩の会場が札幌に変更された際に発生する新たな経費は都に負担させないこと、(3)すでに東京都・組織委員会が支出したマラソン・競歩に関連する経費については、精査・検証の上、東京都において別の目的に活用できないものは都に負担させないこと、(4)マラソン・競歩以外の競技について、今後会場を変更しないこと――。 IOC側はこれまでに、9月にドーハで開かれた世界陸上の女子マラソンで、暑さと湿度の影響により4割の棄権者が出たことを踏まえ、夏の酷暑が懸念される東京から札幌への移転案を提示。「これは決定事項だ」と札幌案を推し進める姿勢を見せていた。 この日の協議の冒頭、コーツ委員長は「ここで4点についてあれこれ議論することはない。確認のためだけに聞いている」と小池氏に尋ねた。 小池知事は続けて語った。「まだIOCの説明に足りない部分、納得できない部分はある。現在もマラソン・競歩を東京で実施するのがベストだという考えはいささかも変わらないが、開催都市として、大会の成功にまい進できる体制づくりの重要性を鑑み、IOCの決定には同意できないが、最終決定権限を有するIOCの決定は妨げない。あえて申し上げれば、合意なき決定だ」。不本意ながら開催場所の変更を容認する意向を表明した。 組織委の森会長、橋本五輪担当相は、いずれも4点の合意事項を了承。3年前の4者協議の場で、バレーボールなどの競技会場見直しをめぐって小池知事と火花をちらした森会長は「小池知事が大変な決断したことに敬意を表したい」と持ち上げたが、小池氏は表情を変えなかった。