都内の「お宝」一堂に 県美、21美、工芸館が初の合同展
●東京国立博物館など所蔵 ●「文化の力」で能登応援 東京国立博物館(東博)をはじめとする東京の美術館・博物館の名品を一堂に集めた特別展が11月中旬から、金沢市の石川県立美術館、金沢21世紀美術館、国立工芸館で開かれることが決まった。3館合同の展覧会は初めて。能登半島地震、奥能登豪雨からの復興を支援する事業として、東博が国宝などの展示を都内各館に呼び掛けている。能登の住民は無料で招待される予定で、「お宝」に触れてもらい文化の力で県民を元気づける。 ●11月中旬から 県から協力依頼を受けた東博が、都内の国立・民間の美術館、博物館に声を掛け、多彩な所蔵品を集めた特別展の開催へ準備を進めている。趣旨に賛同した国立西洋美術館とサントリー美術館も参加する。 特別展「ひと、能登、アート。」は県などが主催、北國新聞社が共催し、日本画・古美術や近現代美術、工芸品を並べる。 展示が決まっているのは、東博の所蔵品5点だ。 県立美術館では、日本最古の歌集「万葉集」を平安時代に写したもののうち、最も歌の数が多く、同時代を代表する名筆とされる国宝「元暦校本(げんりゃくこうほん)万葉集」が公開される。2023年の国民文化祭の「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展」で注目を集めた前田家ゆかりの国宝「金沢本万葉集」とともに「五大万葉」の一つに数えられている。 また、金沢ゆかりの絵師俵屋宗達が描いた国宝を尾形光琳が忠実に模写した重要文化財「風神雷神図屏風(びょうぶ)」も飾られる。 金沢21世紀美術館では、現代美術家の横尾忠則さんが23年に発表した新作「寒山拾得(かんざんじっとく)《2023-06-27》」が披露される。中国・唐時代の詩僧2人をテーマにした「寒山拾得」を独自の解釈で再構築したシリーズ(102点)の1点となる。 国立工芸館では、県立美術館が所蔵する国宝「色絵雉香炉(いろえきじこうろ)」の作者・野々村仁清(にんせい)が手掛けた重文「色絵月梅図茶壺(ばいずちゃつぼ)」のほか、重文「青磁輪花鉢」が展示される。 会期は、県立美術館が11月15日~12月21日、金沢21世紀美術館が12月13日~26年3月1日、国立工芸館が12月9日~26年3月1日となる。 ●七尾で「松林図屏風」 地震で休館している県七尾美術館では今年秋、開館30周年特別展が開かれ、七尾生まれの絵師長谷川等伯の国宝「松林図屏風」が20年ぶりに披露される。県の担当者は「文化の力で能登の人たちを元気づけたい」と力を込めた。