「健康は最重要だがプライバシーも」 「原則着衣」となった学校検診、現場の対応にばらつきも
京都府南部の自治体のある教委担当者は「文科省通知は『必要に応じて』など定義が曖昧で、診察の仕方はほぼ現場任せ。結果的に学校や学校医の衣服の着脱に対する考えの違いが、ばらつきとして表れているのではないか」と指摘する。 今春の学校健診で、児童生徒の体操服を胸までめくる形で診察した男性学校医は「疾患の兆候を見つけ、子どもに健康な学校生活を送ってもらうのが学校健診の意義。異常所見なしの判断はいい加減にはできず、少しでも正確に診察できる方法をとった」と語った。 医療分野における人権の尊重を訴える声もある。京都大文学研究科の児玉聡教授(生命倫理学)は「公衆衛生の観点では健康が最重要とされがちだが、そのためにプライバシーを犠牲にしてよいという発想は通用しない」と強調した上で、「学校の方針に納得できない場合は、保護者や子どもが信頼するかかりつけ医でも健診を受けられるようにするなど、選択肢を示す必要があるのではないか」と提案する。