安倍首相の総裁3選、新憲法の2020年施行はどうなる? 2018年日本政治展望
●野党再編・連携の行方は?
昨年9月、小池百合子都知事により希望の党が設立された。民進党の前原誠司代表(当時)は同党を希望の党に合流させる決断をしたが、それに違和感を持つ議員は枝野幸男氏を代表とする立憲民主党を結成した。こうして、かつての民進党議員は、希望の党、立憲民主党、参院と地方議会を中心とする民進党の3党に分かれてしまった。 前述のとおり、政党政治の活力を維持するためには政党間で健全な競争が行われることが重要である。野党陣営が分裂したままでは、与野党間の競争は非対称なものとなり、「自民1強」が続くであろう。そのため、野党陣営が結束できるか、特に旧民進系3党の行方が今後の政局のカギとなる。 しかし、野党の連携や再編には大きなジレンマがある。すなわち、各党はそれぞれ独自の政策を打ち出しているが、独自性にこだわっていると連携がうまくいかず、少数派のままである。政権を狙うならば、独自性を薄めて統一会派結成や政党合併などに進む必要がある。その一方で、各党は独自性を出さないと(いわばエッジを効かせないと)、他党との差異化が困難となり、埋没してしまう。このジレンマをどう解くかが最大の問題である。
実際、昨年末に民進党が希望の党と立憲民主党に統一会派結成を申し入れる方針を決定したが、立憲民主党は今のところ拒否する方向である。3党の間では安保法制への賛否など意見の隔たりが大きく、統一会派の成否はまだ不透明である。 この点について1つ挙げられるのは、自民党のあり方が参考になるかもしれないということである。実は55年体制での自民党は、内部に多様な意見を抱えつつも政権党としてのまとまりを維持していた。たとえば、憲法9条護持派から改憲派まで幅広い意見の持ち主がいた。それでも、政権を維持するためには1つにまとまっていることが必要だとの認識が共有されていたので、いくつか離党や分党はあったにせよ、党が解体することはなかった。 21世紀になってから、特に第2次安倍政権以降は「1強」化が進み、首相の方針に対する異論は出にくくなった。それでも、子育て支援や教育無償化など、野党の方針を柔軟に取り入れる姿勢は健在である。こうした融通無碍なあり方には批判もあるものの、柔軟であるがゆえに強靱さを保っている同党の組織構造には見ならう点があるかもしれない。