安倍首相の総裁3選、新憲法の2020年施行はどうなる? 2018年日本政治展望
長期政権の是非
2012年12月に第2次安倍政権が発足してから5年が経った。第1次政権も含めると安倍首相の在職日数は2100日を超えており、戦後の首相としては歴代第3位である(ちなみに第1位は佐藤栄作氏、第2位は吉田茂氏)。このように政権が長期化することにはどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか。 首相の在任期間が長いことは、政策運営や外交において有利となる。これまで、小泉政権など幾つかの例外を除き、首相の在任期間はせいぜい2年程度であった。そのため、政策運営の持続性や一貫性が損なわれたり、国際的な存在感に欠けたりといった問題が生じていた。その点で安倍首相は、内政面ではアベノミクスを一貫して実行しているし(もっともその内容には融通無碍なところがあるのだが)、対外的にも、トランプ米大統領はじめ各国首脳と良好な関係を築き、「自由で開かれたインド太平洋戦略」に代表される戦略的な外交を展開している。 一方、長期化した政権は強大となり、挑戦者が出にくくなってしまうことがある。前回(2015年)の総裁選が無投票再選だったことはその象徴である。しかし、党内での異論が封じ込められ、健全な競争が失われてしまうのは政党政治の活力という点で問題が大きい。政党政治の活力を維持するためには、政党間のみならず政党内でも活発な競争が必要だからである。 このように考えると、必要かつ妥当なかぎり政権を持続させることと、党内での健全な競争を維持することの両立が重要であろう。 これまで首相の在任期間が短かったのは、衆院選、参院選、地方選挙など各種選挙が頻繁にあることに加えて、各党で党首(総裁や代表)の任期が定められていることが大きかった。2017年3月の党則改正で自民党総裁の任期は以前の連続2期6年から連続3期9年となったが、3年ごとに総裁選があることには変わりがない。 実は、諸外国の政党には党首任期の定めがないところが多い。たとえば英国の政党は、党首の任期の定めはないが、一定数の議員の支持があればいつでも現職党首に挑戦できる仕組みである。このような仕組みを取り入れるのも一案かもしれない。党首の任期切れのために政権が短期化することを防ぎつつ、いつでも挑戦者に機会を与えることで党内競争の活力を維持できるからである。