「ロマンス詐欺で失ったカネが返ってくる」もサギだった…連発する弁護士犯罪「意外な黒幕」の正体
恋愛欲に金銭欲を絡める
今は国際ロマンス詐欺の被害相談を受け付けていないが(理由は後述)、2~3年前、被害が深刻化し始めた頃、被害者救済のために動いた経験のある弁護士法人AURAの藤原洋一弁護士は、金銭を振り込ませるまでの巧みな手口に驚嘆したという。 「マッチングアプリなどで出会い、感情を刺激するいろんな写真を用意、相手の反応によって表現を変え、恋愛気分にさせるまでのノウハウにはそれなりに積み重ねがあり、納得させるものでした。難しいのはそこから振り込ませてカネを収奪する手口です。多くがFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨などへの勧誘でした。それも確実に儲かると言葉ではなく視覚でわかるようにして勧誘する。 それにはまず、金融商品取引のためのプラットフォームをダウンロードさせ、そこに誘導して自分がいかに儲けているかのチャートを見せるんです。もちろん本物ではなく詐欺サーバーを通じた作られたチャートです。信用させて投資させ、徐々に投資額を増額させ、有りガネのすべてを吐き出させる。それが典型的な手口でした」 恋愛欲に金銭欲を絡め、それを視覚で納得させるから落ちてしまうというのである。接触の一切ないバーチャル犯罪だ。 加えて、犯罪の主体は弁護士ではない。立件されているのはいずれも弁護士資格のない者に法律事務をさせたという弁護士の事件だが、「黒幕は別にいる」(警視庁捜査関係者)という。 「被害者を集めるには、最低でも1000万円以上のネット広告を打つ必要があります。そこで投下資金が必要だし、そのうえ事務所スタッフと事務所の資金が要る。資金だけを提供する文字通りの黒幕案件と、詐欺集団が資金調達して取り組む案件との2つがありますが、弁護士が主体ではなく名義貸しで『被害者対応は我々でやるので先生、お願いします。報酬は利益の○%(あるいは○○万円)でどうでしょう』といった形で勧誘され、弁護士が応じてしまう」(同)