特集「キャッチ」福岡からパリ五輪を目指す ビーチバレー日本代表候補の髙橋巧選手 “アジアの壁”を超えるために異例の決断
別の日、高尾コーチと練習していたのは髙橋選手1人だけでした。 ■高尾コーチ 「ちょっと刻みすぎ。」 ■髙橋選手 「ステップを。」 ■高尾コーチ 「だけん、間が合わんやろ。」 実は、ペアの池田選手の拠点は関東にあり、ふだん2人は離れた場所で別々に練習しています。 埼玉県出身の髙橋選手も、もともとは関東が拠点でした。 しかし、リオ・デ・ジャネイロ、東京と、オリンピック出場を目指したものの、アジアの壁を超えることができず涙してきました。 そうした現状を打ち破るため、以前から指導を受けていた高尾コーチを頼り、おととし、福岡へと拠点を移したのです。 通常、ペアでの練習が多い中、一人、福岡に拠点を移すのは異例ともいえる決断でした。 ■髙橋選手 「マイペースに自分は練習できるので成長している実感もあるし、ひとつ結果が出せた。」 1人の時間に基礎を徹底的に見直すことで、正確なプレーに磨きがかかっています。
試合や合宿のため、国内だけでなく海外も飛び回る髙橋選手。帰ると必ず訪れる店で、福岡の生活で欠かせない人たちとテーブルを囲みます。この日、食事をともにしたのは、福岡で初めてできた友人の伊地知和義さんです。 ■髙橋選手 「いろいろ相談したりとか本当に心強くて、福岡の兄貴です。」 そして、まもなく結婚8年目を迎える妻の真実さんは、1年の半分は家にいない髙橋選手がリラックスできるよう心がけていることがあります。 ■髙橋選手の妻・真実さん 「試合が近くなると夢でずっとビ ーチバレーしている。結構、寝言を言うんですけど、寝言でもビーチ のことを言っている。試合が近い時は、あえてビーチのことは話さない。」 開催国として日本から1組が出場した3年前の東京オリンピック。その切符をつかめなかった髙橋選手の頭には引退の2文字がよぎったといいます。しかし。 ■髙橋選手 「五輪の放送があって、それを見ていた真実が、この場に僕が立っていなかったのが寂しい、悔しいと 言った。その言葉がずっと残って、『このままじゃ終われない』と。」 ■伊地知さん 「悔いのないように、それだけです。 その結果がどうであれ。」 ■髙橋選手 「いや、やりきって。カップを持って帰ってきて、ここで祝勝会したいです。」 ■伊地知さん 「頑張ってください。」 ■髙橋選手 「はい、頑張ります。」 ■真実さん 「いってらっしゃい!」