1月はこんな映画を観ようかな。
『哀れなるものたち』 ヨルゴス・ランティモス(監)
異能の天才外科医は、自殺した脳死状態の女性に、赤ん坊の脳みそを移植することで新たな生を授ける。かくして、”体は大人、頭脳は子供”状態で蘇ったその女性の名は、ベラ。黒髪のエマ・ストーン演じる彼女は、飽くなき好奇心を胸に、人生のポテンシャルを試す旅に出る。同じ監督の『籠の中の乙女』と同様、”俗世から隔離された子供”というテーマが追求されるわけだが、今回はそれ以上にフェミニズム的な側面が強い。なにしろ衣装が洒落ていて、それだけで白飯3杯はいけそうだ。1月26日より公開。 新しい1年の幕開けにピッタリな3作。
『僕らの世界が交わるまで』 ジェシー・アイゼンバーグ(監)
ネットの音楽動画配信で人気を集める高校生ジギーと、DV被害者のためのシェルターを運営する堅物な母の、面白いくらい噛み合わない関係を軸に物語は進む。と同時に興味深いのは、リアルラルフにおけるジギーのダサさ。彼は同級生の女子に想いを寄せているが、彼女の好む政治的な話題にはまるでついていけない。政治に関心がないZ世代もいる。ジェシー・アイゼンバーグの記念すべき初監督作は、その当たり前だけど見逃されがちな事実と、真摯に向き合った青春コメディだ。1月19日より公開
『Lift/リフト』 F・ゲイリー・グレイ(監)
国際的な強盗団が、飛行中の旅客機内で5億ドル相当の金塊強奪に挑む、痛快極まりないコメディアクションだ。ところで、監督のF・ゲイリー・グレイは、最近じゃ娯楽大作のイメージが強いが、ヒップホップMVを数多く手掛けた後、『friday』で映画に転身した人であり、主演はスヌープドッグ映画の傑作『ソウル・プレイン/ファンキーで行こう!』などで知られるケヴィン・ハート。つまり本作は、ヒップホップの香りがぷんぷんする『ルパン三世』ってこと!? 1月12日よりNetflixで独占配信。 text: Keisuke Kagiwada
POPEYE Web