大接戦の米大統領選 韓国政府はシナリオ別準備に注力
【ソウル聯合ニュース】11月5日の米大統領選の投票日が迫るなか、韓国政府がその行方に神経を尖らせ、対応策作りに没頭している。 民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝利するかにより、韓米関係や米朝関係など朝鮮半島情勢に影響が生じる可能性がある。 ハリス氏が大統領選で勝利すれば、相対的に大きな変化はない見通しだ。バイデン政権と同様、韓国について共通の価値観を持ち、国際問題に共同対応する主要メンバーととらえ、韓米同盟強化に努めるとみられる。米朝関係についても現状では特別な変化はないものと予想される。 一方、トランプ氏が再選した場合、「米国を再び偉大に」というスローガンを再び掲げ、韓国を含む同盟国により大きな役割を要求することが予想され、韓米関係は変化する可能性が高い。また大統領在任当時は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)との特別な関係を誇っただけに、米朝関係がどのように変化するのか予想するのも難しい。 このような状況で両候補が「大接戦」を繰り広げていることが各種調査で明らかになり、韓国政府は慎重な態度で選挙後に備えている。 外交部は両陣営の政策や人事の動向を探りつつ、関係機関と対応方向を議論しているという。 2016年の米大統領選でトランプ氏が「予想外」の当選を果たした衝撃を記憶する政府は、すべてのシナリオを念頭に置いて米政府や議会はもちろん両陣営の学界、財界の関係者とのネットワーク構築に努めてきた。 趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官も先月、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪問した際、両陣営の関係者と接触する機会を広げることに注力したという。 趙氏は先ごろ開かれた国会外交統一委員会の国政監査で、トランプ氏当選に備えた準備について、「私なりにトランプ候補当選の可能性も念頭に置いて人脈を広げ、側近らとも面会した」とし、「政府レベルだけでなく企業や学界レベルの人脈も使って活動している」と説明した。 トランプ氏が在任中に予想が難しい戦略を打ち出しただけに、同氏が当選すれば、外交部の対応も難度が高くなると専門家も指摘している。先ごろ韓米が妥結した、2026年以降の在韓米軍の駐留経費負担を定める新たな「防衛費分担特別協定」(SMA)交渉についても、再交渉を要求してくる可能性がある。 ただ外交部当局者らは、韓米関係に根本的な影響はないと口をそろえる。 北米地域を担当したことのあるベテラン外交官は、トランプ氏が当選してもすでに一度経験しているため、今回は政策的にも、心の準備も十分にできていると話した。 選挙結果が出れば、政府は速やかに当選者側と接触して、対話チャンネルづくりに力を注ぐものとみられる。 民間シンクタンクの峨山政策研究院で首席研究委員を務める車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)氏は、「韓国としては、結局どの候補が当選しても、堅固な韓米同盟を土台に協力しなければならない」とし、「韓国がすでに同盟に大きく寄与しており、今後も寄与するという意思を米国の政策担当者だけでなく、広報文化外交を通じて一般市民にも説明する努力が重要だ」と指摘した。 外交部当局者は「次期米政権と続けていく協力関係を静かながらも積極的に準備している」とし、関連機関との連携を通じて随時動向を点検し、大統領選後を見据えて対応の方向を体系的に用意していると話した。
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