阪神の261日ぶり巨人戦勝利を導いたのは「FJD」を「JFD」に緊急配置転換した矢野監督の機転采配
阪神が14日、東京ドームで行われた巨人戦に4―2で逆転勝利、昨年8月26日以来、巨人から261日ぶりの勝利を挙げた。青柳が初回に2点を先制されたがマルテの3号ソロで1点差にすると7回に一気に逆転。その裏には、本来は8回を任すジョンソンを先にマウンドに上げ「J(ジョンソン)F(藤川)D(ドリス))の緊急方程式で逃げ切った。ここまでは采配ミスも目立っていた矢野監督だが、勝負勘が冴え渡る名采配だった。若いチームと共に指揮官も経験を経て成長しているのかもしれない。 矢野監督が動く。阪神は、巨人のルーキー、高橋に翻弄されていたが、1-2で迎えた7回からアダメスにスイッチすると、先頭の福留がセンター前ヒット。阪神ベンチは迷わず代走に江越を送った。梅野に送らせ、その後、二死一、二塁となったが、青柳の代打・北條がセンター前へ同点タイムリー。バットの先っぽ。決してほめられた当たりではなかったが、振り切ったからヒットゾーンに落ちる。 「チャンスだったので初球から思い切りいった。いい所に落ちてくれてよかった」 勢いは続く。さらにドラフト1位のルーキー、近本が四球を選び満塁となると、糸原が3番手、戸根の高めに浮く失投を見逃さず、しぶとくセンターへ。2者が生還して4-2と逆転に成功した。 「絶対打ってやろうと。これまでやられたんで、やり返してやるという気持ちで、今日は絶対に勝ちたかったので良かったです」 矢野采配の真骨頂は、その裏である。 F(藤川)J(ジョンソン)D(ドリス)だった勝利の方程式を変更。まず最初にFではなく最も信頼のおけるJをマウンドに送ったのだ。 「点も取ったところ。野球には流れがある。そこを止めるためにはジョンソンかなと」 巨人の打順は一番からだった。2番の坂本と3番の丸が並ぶ“サカマル”に巡ってくる打順が、巨人の一番の得点源。ならば、そこに現時点で阪神のブルペンで最も安定感のあるジョンソンをぶつける。機転を利かした勝負手だった。一死を取って開幕36試合連続出塁の記録を続けていた坂本を三振。丸は歩かせたが4番の岡本も三振。 先週のヤクルト戦では、3点差が5点差となったところで8回ジョンソンのパターンを温存して福永を起用して失敗した。試合後、矢野監督は、素直に采配ミスを認めたが、その教訓は、違った形の名采配となって巨人の反撃を封じたのである。