阪神の261日ぶり巨人戦勝利を導いたのは「FJD」を「JFD」に緊急配置転換した矢野監督の機転采配
準備という点では、1イニング前倒しになったジョンソンに戸惑いはあったのかもしれないが、ブルペンとの連携は良かった。 8回からは藤川。制球不安は解消されておらず一死から代打・立岡に四球を与えたが、踏みとどまった。田中俊、山本を連続三振。矢野監督が決断した「JFD」の緊急方程式への責任感である。9回はドリスが代打・阿部、重信を連続三振に仕留めて三者凡退。矢野采配が対巨人の連敗をストップさせ、令和初となる伝統の一戦を勝利に導いた。 「JFK」と呼ばれたジェフ・ウィリアムス、藤川、久保田の3人の投手を使い、7回以降を1イニングずつ抑える現代野球の勝利方程式のあり方を確立したのは、2004年から5年間、阪神の指揮を執った岡田彰布氏である。2005年の優勝当時、岡田氏は「勝負を左右するのは7回。流れを食い止めるために一番重要なのは7回だ」と、7回最重要説を説き、その7回に藤川を置いていた。JFKの最初は、FJKであり、最後は、その藤川がストッパー起用されることになりJKFやKJFとなっていた。当時のキャッチャーが矢野監督だった。7回にジョンソンを緊急配備した矢野監督は、岡田氏が主張した7回最重要説を思い出したのかもしれない。ここまでは、指揮官としての経験不足をところどころで露呈してしまっていた矢野監督だが、若いチームと共に彼自身も勝負勘を養いつつある。 「一矢を報いた。むちゃくちゃうれしい」 矢野監督は、素直な感情を吐露した。 そして、こう続けた。 「単なる1勝かもしれないが、阪神にとっては単なる1勝ではない。坂本を止められたことも、もしかしたら、そういうこと(単なる1勝ではない)につながるかもしれない」 坂本の連続出塁記録もストップした。この対巨人今季初勝利を明日へとつなげたい。巨人の先発は、球界ナンバーワン投手の菅野。対する阪神の先発は安定感のある岩田。真価を問われる伝統の一戦の第二幕となる。