耐震不足で庁舎取り壊し→スペースが足りない→テレワーク進めるきっかけに! 目標は「4割出勤」、でも大量の公文書や災害対応どうする…期限は2年、達成可能?
県の危機管理部は別の庁舎にあり再編の枠外だが、大規模災害が起きればどの部局も緊急対応が必要だ。土木部がモデルオフィスで新たな働き方を検証する期間中だった昨年8月には、台風7号が発生。県内では幸いにも死者は出なかったが、大雨で河川が氾濫するなどして対応に追われた。 災害対応は時間との勝負だ。土木部のある職員はテレワークではリアルタイムで何が起きているかその場で共有しづらかったといい、「コミュニケーションが取りにくかった」と振り返る。 県はこうした課題の解決に向け6月中にも有識者会議を設置して議論を深める。目玉施策の推進に斎藤元彦知事は強気の構えだ。課題も突き付けた検証の中間報告を受けた会見では「思ったよりポジティブに受け止めている」と発言。「課題が顕在化したので時間をかけてじっくりと考えていく」とした。 前例のない取り組みであるから課題が出てもおかしくはない。だが庁舎解体は2年後に迫っている。 ▽「スペースないからテレワーク」は順番が逆?識者「県民の利益考え、柔軟な対応を」
専門家はどう見るか。テレワークに詳しい大正大・塚崎裕子教授は「働きやすさを求めるのではなく庁舎のスペースがないからテレワークを検討するのは順番が逆ではないかと思うものの、取り組み自体は画期的で職員の働き方の可能性が広がるものだ」と指摘する。 「災害対応については多様なケースを想定した綿密なシミュレーションが必要だ。人材育成の体制確保も重要で、検討すべき事項は相当多く、準備期間があと2年しかないのはかなり短い。県民が不利益を被るのであれば県の施策として本末転倒であり、ダウンサイズした庁舎の新設も視野に入れて柔軟に議論を進めるべきだ」と話している。