耐震不足で庁舎取り壊し→スペースが足りない→テレワーク進めるきっかけに! 目標は「4割出勤」、でも大量の公文書や災害対応どうする…期限は2年、達成可能?
一方で、職員の出勤を週2日にして、残りはテレワークとすれば「出勤率4割」となり、何とか収まる計算だ。県はここに着目した。 兵庫県は2023年6月、将来の県庁をイメージしたモデルオフィスを県庁近くの施設に設置。職員の固定席を設けない「フリーアドレス」を採用して全体の席数を減らした上で、部局ごとに約1カ月間、4割出勤が実際可能かどうか検証を進めている。今年3月に公表した中間報告によると全体の出勤率は45・1%で、おおむね達成できていた。 ただ、職員アンケートの結果からは課題も浮かび上がる。職員の7割が「業務効率が落ちた」と回答し、8割が週2日以下の在宅勤務を希望していた。理由としては「業務に必要な書類の電子化が進んでおらず必要な情報が不足した」「オンラインでは正確な意図の伝達や気楽な相談が困難」などが挙げられていた。 ▽42キロメートルの公文書 テレワークをスムーズに進めるには、公文書の電子化は重要なポイントだ。県法務文書課によると、1~3号館にある公文書を並べたところ、その長さはフルマラソンと同じ約42キロメートル。県は日常的に参照する文書を選別し、2024年度は約2億1千万円をかけて電子化を進めるが、1年間で完了するのは660メートル分ほどだという。全文書の電子化を目指すわけではないが、2年後の庁舎解体までに必要な電子化を終え、自宅でも問題なく働けるようになるのかは未知数だ。
また、新規に作成される文書は一定の量が電子化され、全体として紙の量は減っていくとはいえ、庁舎再編後もそれなりの広さの保管スペースは必要だ。2号館にあった文書庫はなくなるため、近くの施設を改修して確保する予定だが、それでも文書1700メートル分ほどしか保管できない見通し。さらに民間の貸倉庫を活用するといった対応を迫られる。 公文書扱いではない職員持ちの資料類も約9200メートル分あるといい、一人一人が資料をできるだけ少量化する意識が求められる。新しい働き方は、言うはやすく行うは難し。順応するのは簡単ではなさそうだ。 ▽災害発生時、駆け付けた応援職員があふれる可能性も 災害対応も懸念の一つだ。今年1月の能登半島地震では、石川県庁に全国の自治体などから多くの応援職員が集まった。近い将来起きるとされる南海トラフ巨大地震では兵庫県も大きな被害を受ける可能性があるが、手狭になる県庁ではせっかく駆け付けてくれた職員を収容できない事態もあり得る。