「どうすればよかった?」台風の想定外の動きに振り回された夏休み…狂う旅程 石垣島で身動きが取れなくなった記者が痛感した準備の大切さ
妻は停電でも充電できるモバイルバッテリーを持参していたが、私は持ってくるのを忘れた。沖縄本島では多くの観光客が停電したホテルに取り残されたと聞いた。次回からはモバイルバッテリーは忘れずに持って行かねばと思った。 他にも毎日飲む薬や使い捨てコンタクトレンズなど、災害時に旅先で簡単に入手できないものは、旅程より多めに持参するのが大切と言えそうだ。 離島にいるなら、できるだけ早く大きな島に移動する必要もある。この点では民宿のご主人に感謝している。人口約5万人の石垣島に戻れたおかげで、食料の調達もスムーズにできた。県立病院など万一の時の医療機関も充実している。小さな島ではこうはいかない。 心の持ち方も大切だと強く感じた。連日ホテルに閉じ込められ、停滞する台風の情報を伝えるテレビを見ていると「どうしてこんな目に遭うんだ」「何でこの台風は(沖縄に)戻ってくるんだ!」と怒りが抑えられなくなった。子どもたちも「早く家に帰りたい」と涙ぐむ。なんとか4日には帰りたい。「4日には風雨が少し弱くなりそうだ」という情報にすがりたいが、それでも飛行機が飛ぶかどうかは分からない。
いらつく気持ちを抑えるため、意識して「諦めよう」と考えた。帰りのチケットを持っている以上、見捨てられることはないだろう。いつか分からないが、いつかは帰ることができるはず―。「自分ではどうすることもできない」という状況を受け入れると、気持ちが落ち着いた。 ▽うれしかった客室乗務員の言葉 本来ならこの日から職場に復帰する予定だった4日、朝から石垣空港に向かった。利用する全日空のフライトは1日2便。正午発は欠航が決まっていたが、午後3時20分発は通常通り飛ぶという情報だった。 前日に全日空のアプリから空席待ちを申し込んでいたが、空港に着くとカウンターの前に数百人が長蛇の列を作っていた。「やはり空席待ちで帰ることは厳しいか」と諦め気味になっていたところ、「夕方に羽田行きの臨時便が飛ぶ」と分かった。トンネルの先に光が見えたような気がした。 4日午後5時ごろ、搭乗開始。飛行機に乗り込んだ時のベテランの客室乗務員の言葉が忘れられない。