アルバルク東京の王座奪還へ、大きな葛藤の末に安藤周人が下した決断「シックスマンとして出たいとコーチにお願いしました」
「自分のエゴよりチーム全体を見ないといけないです」
選手にとってより多くのプレータイムを得たいと思うのは普通のことだ。そして、ベンチスタートになれば必然的にプレータイムは減っていく傾向にある。実際、昨シーズンまで安藤は1試合平均20分以上コートに立っていたが、ここまで20分以上の出場はない。 安藤が「コーチにシックスマンとして出たいと言うことが、ベストな判断なのかすごく悩みましたし、めちゃくちゃ葛藤しました」と語るように、それは簡単な決断ではなかった。だが、A東京のアイデンティで最も優先すべきはディフェンスであるからこそ、自分は繋ぎの役割を担うべきとの結論に至った。そこには昨年の琉球ゴールデンキングスとのチャンピオンシップ・クォーターファイナル初戦のダブルオーバータイム終盤に、2点リードで3ポイントシュートだけは打たせてはいけない場面でマッチアップした岸本隆一に、決勝のロングスリーを決められてしまった後悔も影響している。 安藤は、このようにこの大きな決断に至った背景を明かしてくれた。「去年、CSで琉球に負けた時、最後の3ポイントを決められたのが自分でした。僕たちはディフェンスファーストで、守備は小酒部の方が間違いなく上手です。試合の終盤、レオ(レオナルド・メインデル)、ライアン(ロシター)、(テーブス)海とオフェンスを引っ張っていける選手がいる中、自分が入ることでディフェンスの強度が1つガクンと下がってしまう可能性がある。終盤は小酒部に任せたほうがいいのかなと。その考えをシーズンが始まる前にアシスタントコーチからヘッドコーチに伝えてもらって、自分はシックスマンとして途中から良い流れを作っていきたいとお願いしました」 これまでの歴史が示すように、安藤はBリーグ屈指の実力者だ。「シュート第一」という一見すると個人のエゴを強く押し出すような目標を掲げる一方、今シーズンの彼はこれまで以上のチームへの献身性を持ってコートに立っている。 「チームとして何が必要なのか。去年のチームで何がダメだったのかを考えると、自分のエゴよりチーム全体を見ないといけないです。まだ、モヤモヤしている部分はありますし、シックスマンになって(これまでのように)1試合20分以上出られるわけでもないです。出場時間が限られている中でどうしたらいいのか葛藤しているところはあります。それでも、自分が何かしらできることはたくさんあると思うので、新しい試みを楽しみながらやりたいです」 実際、この週末の安藤は、限られた出番の中でも大きなインパクトを残した。シックスマンとして固定されることで、これまでに比べてプレータイムが減るかもしれない。だが、それは彼のパフォーマンスが低下したからではなく、中心選手としての優勝への強い覚悟、チームへの高い忠誠心によるものであることを忘れてはいけない。
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