【解説】国会議員の海外視察『見えにくい実態』公報を広げて気づいた...衆議院議員は「国会に〇日間登院できませんよ、としか書いていない」事後の報告も義務付けなし
ゴールデンウイークに海外視察をする国会議員は多く、今年も岸田総理をはじめ閣僚14人や国会議員らが海外渡航をしています。海外視察をめぐっては自民党女性局の研修で行ったフランスのパリで、エッフェル塔の前でポーズを撮った松川るい参院議員などに対して「旅行じゃないか」「まさに観光客」などといった批判も相次ぎました。中身が見えにくい国会議員の海外視察とはどのようなものなのか、MBS大八木友之解説委員に聞きました。 【画像を見る】れいわ・山本太郎氏が『タイへ七日間』など記載の参議院の公報
ーー海外視察とはそもそもどういうものでしょうか? (大八木友之解説委員)「岸田総理が行くのは海外視察とは呼ばない、国を訪問する政府の外交です。ただ、各議員がやっているものは海外視察と呼ばれるもので、議員外交という形でそれぞれの国に行って、そこの議員の方と話をしたり、先端産業の工場や企業家の人たちと面会するなど幅広いです。通常国会の会期中ですので、国会議員の立場で休みを取って、半ば仕事で行くという形です」
参議院は行き先や目的を公開しているが…詳しい中身は不明
ーー参議院から見ていきたいのですが、どの議員がどこに行っているかを公報しているわけですよね? (大八木解説委員)「公報ってあまり馴染みがないと思うのですが、一般の方はほとんど見たことがないと思うんです。私もこの取材をするにあたって見てみました。参議院の場合は『何の目的』『どこの国へ』『何日間』行くのかという簡単な部分はわかるようにはなっています。でも情報として明らかになっているのはごく一部で、中身まで細かくわからないです」 ーー松川るい参議院議員は去年、エッフェル塔の前で記念撮影をして批判されたということですが、このGWもやはり海外に出かけていましたね? (大八木解説委員)「オーストラリアと韓国に行っていたということです。外交を非常に熱心にされている議員でもありますので、この機会にトントンと行かれているというところです」
海外視察の報告は義務付けられていない あくまで『個々の議員の活動』
ーーこういう活動をしてきましたという報告はどこかであるのですか? (大八木解説委員)「これは議員それぞれの活動ですので、この海外視察においては国会での報告は義務付けられていません。事前にも公報という形でしか一般にはわからない。どこの国へ何日間行くのかぐらいしかわからなくて、事後の報告も義務付けられていません。なぜかと言うと国会の本会議や委員会がないときに行っているだけなので、個々の議員の活動ですよと。だから国会で一つ一つ報告してもらう必要はないとされています」 ーー私たちとしては、向こうで何をしていたのかというところですよね? (REINAさん)「海外視察自体を否定するつもりはないのですが、現地でしか得られない情報もあると思うので。ただ本当にその成果が出ているのか、成果とコストが見合っているのかが客観的に判断できない状況が問題で、民間企業だと一般的に事前申請をして帰国後にしっかり出張報告書や成果報告書を提出して妥当かを判断するなど、民間レベルではそれが当たり前で常識なのに、なぜ政府レベルでできないのかと疑問をもってしまいます」 (大八木解説委員)「委員会で公式に議員団を組んでいく場合、公費、要するに税金があらかじめ投じられていくような視察もあるんです。ただ、それぞれの議員が例えば各国の政府から招待を受けて、フライト代とかは出た形で行っている場合や自費でという形。自費ですが渡航費が詳細に報告されていないので、どういう形で捻出されてるのかは不明なんですよね」