保険会社CEO殺害事件、容疑者は名家出身のエリート 映画『ジョーカー』のようだとSNSで賞賛を集める異常な事態に【米】
アメリカで犯罪者が熱狂的な人気を獲得したのは彼が初めてではない。 1970年代に若い女性を猟奇的に殺害したテッド・バンディを初め、例を挙げればきりがない。「BBC」に登場したインフルエンサーで文化評論家でもあるブレイクリー・ソーントンはマンジョーネがSNSに投稿していた上半身裸の写真も彼の人気を煽ったと指摘。「アメリカ人はマンジョーネのような人物を信頼し、共感するようプログラムされている。だから映画や本などのストーリーの主人公になるんだ」。しかしデジタルカルチャーと実録犯罪の専門家でアングリア・ラスキン大学で教えるターニャ・ホレック教授はSNSの影響を指摘。SNSが犯人や容疑者に対する共感を可視化し、拡散を促していると語る。「ネットによって有名性と犯罪性の境界線が曖昧になっている。マンジョーネを取り巻くムードは「恋愛にも似た執着」だと評する。 その執着ぶりを物語るかのような報道が、大手メディアにも溢れている。雑誌『ピープル』などは留置場で出される食事のメニューを取り上げ「夕食はチキンパルメザンとピザビーンズのどちらか」と報じた。これを見てピザビーンズとは一体どういう食べ物なのかと疑問に思ったよう。一時期、これがGoogleのトレンドワードに入った。(ちなみに豆をトマトペースト、玉ねぎやニンニクのみじん切りなどをピザ風味に煮込み、モッツァレラチーズとパルメザンチーズをトッピングした料理らしい。)「CNN」はその食事をマンジョーネは「縦4.5m、横1.8mで、ベッドとシンク、トイレとデスクが置かれた独房で食べる」「他の受刑者たちとは接触していない」と詳細に報じている。もちろんマンジョーネを支持し、興味半分で騒ぐことを「彼は単なる殺人者だ」と批判する声も上がっているがファンダムの声にかき消されそうだ。これから裁判を通じて殺害に至った動機が彼の口から明らかにされると見られる。アメリカ社会が抱く彼へのダークな執着がますます過熱していくのは間違いなさそうだ。