伊東健人「30代になって“怖いもの”が増えた」年齢を重ねたからこそ見えてきたもの
30代になって“怖いもの”が増えた
現在35歳。30代の折り返し地点にいる今だからこそ、20代と比べて一番変わったことは? 「正直、怖いものが増えました。もちろん経験を重ねるにつれて、“これが怖くなくなったな”と感じるものもありますが……。まだ駆け出しで失うものなんて何もなかった20代の頃に比べて、今では自分の存在を知っている人もそれなりに増えてきた。それはありがたいことではありますが、だからこその責任感など、意識しなければいけないことは年々増える一方だな、と。何をしてもよかったあの頃とはちょっと違う、年齢を重ねるごとに増えてくる“見えない落とし穴”みたいなのは、30歳を過ぎた頃から感じていました。後輩と話しているときにも、『30代はめちゃくちゃ楽しいけれど、若いままの感覚でいたら危ないぞ』ということはよく言っているかもしれません。 具体的に怖いことですか? そうですね……『サッドマンズランド』でも題材として描かれているんですが、やっぱり現代のSNS社会は怖いな、と思います。僕はもはや怖さを通り越して、諦めているところもあるんですが……。自分の思っていたこととは違う捉えられ方をされることもあるし、想像以上の広がり方をしてしまうことだってあるかもしれない。いつどんなことが炎上するか分からない今、気軽には自分の意見を言いにくい場になってしまったなと感じます。もちろんさまざまな意見があることは分かっているし、全員に共感してもらえるとは思っていませんが、だからこそ『こう思うんだよね』ということは、自分の場合はアーティスト活動などで発信していけばいいのかな、って。 でも、だからといって人との関わりが嫌なわけではなくって。むしろ“人間愛”は年々増しているんです。音楽やお芝居のこと、些細な出来事など、人と話している時間はやっぱり楽しい。そんな、仕事仲間や友人など、僕に関わってくれている人たちとの時間はこれからも大切にしていきたいですね」