留め置き電車がショップに早変わり。水間鉄道の「日曜えきなかマルシェ」/大阪
大阪府南部の貝塚市にある水間鉄道貝塚駅で2両編成の電車に乗り込み、終着駅の水間観音駅に到着すると、電車はゆっくり1番ホームに滑り込んだ。隣接する2番ホームにも電車が停車しているが、こちらの電車はこの日は動かない。留め置き電車となって車内がショップに早変わりし、「日曜えきなかマルシェ」が開催されている。
全国的にも珍しい留め置き車両ショップ
水間鉄道は貝塚駅と水間観音駅の間、5・5キロを10の駅で結ぶ単線のローカル鉄道だ。地元では「すいてつ」の愛称で親しまれてきた。 「日曜えきなかマルシェ」は、2011年4月から、原則毎月第1・第3日曜日、水間観音駅で開催。地元からにぎわいを創出するため、イベントを開いてほしいという要望が強まったが、駅構内が手狭で、イベントスペースが確保しにくかった。 そこで当日の営業運転に使用されない車両2両をホームに留め置きにして、イベントスペースに活用することが決定した。現役バリバリ車両の留め置きショップは、全国的にも珍しい。 車内では地元の市民グループなどが、テーブルを並べて出店。がん患者支援や女性がん検診啓発に取り組む社会貢献活動をアピールしたり、手芸作品や地元野菜を持ち寄って販売。乗客が座席シートに座って向き合うのが電車の特色だけに、出店スタッフと顧客の会話も自然と弾んでくる。
オリジナル駅名標ストラップが人気
運輸部イベント担当顧問の福田正博さんが会場の案内役を務めている。水間鉄道沿線の住民が地元野菜などを買い求める他、全国から鉄道ファンが訪れるという。 水間鉄道のすべての現役車両は首都圏を走っていた元東急車両。福田さんは「元東急車両を追いかけて全国を旅しているという鉄道ファンが、立ち寄ってくれます。鉄道ファンの間では、和歌山電鉄貴志川線貴志駅で『たま駅長』に会った後、貝塚の水間鉄道へというコースができているようです」と話す。 車内では水間鉄道の専用ショップもオープン。人気の水間鉄道駅名標スクラップをはじめ、水間鉄道応援酒「鐵の道」、名物菓子「貝塚風景」などが入手できる。