「マジでどうでもいいです」ソフトバンク・リチャード5年連続本塁打王へ15号 つかみかけている〝感覚〟「いろいろな経験を今年はできた」
◆ウエスタン・オリックス3―4ソフトバンク(12日、杉本商事バファローズスタジアム舞洲) ■師匠・山川とともに…リチャードが巨人投手陣をのぞき見?【写真】 ソフトバンクの7年目・リチャード内野手(25)が前人未到の大記録へまい進している。「4番DH」でスタメン出場すると、9回に逆転劇の口火となる15号ソロを左翼席へ。本塁打王争いでは、2位の広島・中村奨成に7本差をつける独走状態となり、前例のない大記録となるファームでの5年連続本塁打王はほぼ当確となった。 1回には左越え三塁打で1打点を挙げており、この日の2打点を追加して計43打点となり、僚友の笹川吉康と並んでウエスタン・リーグの2位タイ。トップの阪神・井上広大にも3差と迫っており、何と3年連続での本塁打&打点の「2冠」まで視野に入ってきた。 「調子というか、新しい感覚です。これを来年、最初から絶対に続けようという感覚があるんで、それを今、ずっとすり込んでいる感じですね」 その〝手応え〟は、明らかに打球に表れている。11日の4打席は中飛、左飛、中堅左突破の二塁打、中飛と、すべてきれいな放物線を描いた本塁打性の当たりで「3本くらい(本塁打を)打ったッスね」と笑いながらの〝自己判定〟したほどに、何とも打球の角度がいいのだ。 12日も1回2死二塁の先制機で「あれも良かったッスね。だから〝4本〟か!」。左翼のオリックス・山中尭之が追い切れず、仰向けに倒れるほどに伸びた一打は、今季初の三塁打となった。 その〝感覚〟とは? 「タイミング?」と問うてみると「タイミングもそうですね。タイミングも一つあります。(バットがボールに)入っていくタイミングがあるんですけどね」。アーチストゆえの、その繊細なフィーリングをつかみつつあるようで、松山秀明2軍監督も「ここ最近、彼らしい打球も飛び出している。これを続けて、アピールできれば、と思いますけどね」とその〝成長ぶり〟を認めるほどだ。 毎年のように、その飛距離ゆえに期待され続けてきた「ロマン砲」も、今季はここまで1軍出場は15試合のみで、本塁打も0。ファームでも精彩を欠き、ここまで75試合出場にとどまっている。チーメートの笹川が98試合、井上朋也が83試合、イヒネ・イツアも82試合をこなしていることを考えると、出場機会としても物足りない。 それでも本塁打はリーグトップ、さらに打点もトップまであと3に迫り「えっ、ホントですか?」とリチャード自身もビックリだ。 「今年は代打とかが多かった。1軍に行ったら、まずそういうところからですからね。レギュラーじゃないんで…。代打から(試合に)入る、そういう練習だと思ってやってはいたんですけど、なかなか代打は厳しいというか…そういうマインドになっちゃっているからかも分からないですけど、厳しかったし、だからこそ、スタメンの時には絶対に打とうという思いでやってきましたし、いろいろな経験を今年はできたと思っています」 そんな苦闘の中で、今季「2冠」が見えてきた。前人未到の5年連続本塁打王は決定的だが「正直、言っていいですか? マジでどうでもいいです」。その気持ちは、まさしく本音だろう。それだけの記録を残しながら、なぜ1軍で結果が出ない? その〝皮肉〟もセットでついてくるのは、リチャードも十分承知している。 【#OTTOホークスファーム情報】 ■〝長打の感覚〟「絶対に離さない」リチャードの決意【関連記事】から
西日本新聞社