世界自然遺産の価値伝える 環境省、花徳小で出前授業 新施設の展示内容紹介も
鹿児島県徳之島町の花徳小学校(佐々木恵美校長、児童44人)で15日、環境省徳之島管理官事務所の中澤孝自然保護官補佐(44)を講師に招いた出前授業があった。中澤保護管補佐は貴重な映像資料を用いて、徳之島の世界自然遺産としての価値などを説明。今年12月にオープンを予定している「徳之島遺産センター」の展示内容も紹介し、児童らは地元に完成する新施設への期待に胸を膨らませた。 出前授業は同町が進める「徳之島環境教育推進事業」の一環で、今年度は町内の4小学校で実施。年度内の授業時間は約30時間を予定している。花徳小では総合的な学習の時間を利用して3~4年生の児童13人が受講した。 中澤保護管補佐は徳之島勤務5年目。アクティブレンジャーとして島内を巡り撮影したオビトカゲモドキやアマミヤマシギなどの映像資料を用いて徳之島の自然の価値を伝えた。世界自然遺産登録の意義については「素晴らしい自然を遺産として大切に守っていくと世界に約束したということ」と解説した。 さらに、花徳に整備中の遺産センターについて「みんなと徳之島の自然をつなぐ施設。徳之島の価値である生物多様性について知ることができる」と説明。約70種の動植物について学ぶことができるジオラマなどの展示物のほか、キッズスペースなどをイメージ画像で紹介し、「自然の魅力を伝えるだけでなく、島の人がくつろげる居場所にしたい」と集いと憩いの場としての機能を強調した。
授業ではアマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミの剥製に触れる機会も設けられたほか、遺産センターに対する要望の聞き取り調査も実施。児童らからは「クイズに挑戦して記念品がもらえると楽しい」「徳之島について質問できるコーナーを作って」などの声が上がった。 受講した児童は「トクノシマトゲネズミの毛はトゲトゲしていて触るとチクチクした。遺産センターが完成したら遊びに行きたい。たくさん人が訪れて花徳がにぎやかになったらうれしい」と話した。 中澤保護管補佐は「特に、地元の子どもたちには遺産センターのことを知ってほしかったので、きょうの授業には一段と力が入った」と振り返り、「子どもたちからセンターへの期待の大きさを感じた。完成を楽しみに待っていてほしい」と笑顔を見せた。