妹がいますが仲が悪いです。一人暮らしの母が認知症になり、母の資産管理について話し合っても妹ともめてしまいます。母の資産はどう管理すべきですか?
親が認知症になり、子どもが親の資産を管理することは珍しいことではありません。しかし、兄弟姉妹の仲が悪いと、親の資産管理の方法について折り合いがつかないというケースもあるでしょう。そのような場合、どのように対応したらいいか考えてみましょう。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
火種が大きな問題にならないよう外部に委託
兄弟姉妹の間で、親のお金の管理に関わるもめごとはささいなことから大きな火種になることがあります。仮に良好な関係であっても、誰かが代表で管理するとなると、任せているほうは疑心暗鬼になったり、管理している人は「自分だけが……」という気持ちが湧いてきたりと、どちらになってももめる原因を作ってしまいがちです。 手数料はかかりますが、兄弟姉妹間の良好な関係維持と、手間を考えて、外部に委託するのが望ましいと思われます。
親の住まいの社会福祉協議会に相談
おすすめは、親の住所地の社会福祉協議会に相談することです。社会福祉権利擁護事業(あんしん事業と呼ばれている場合もあります)として「お金の管理」をしてくれます。 地域によって異なりますが、通帳や印鑑の管理、あらかじめ決めた一定額の生活費の払い戻し、医療費や公共料金の支払い代行などのサービスを提供しています。 料金も各地域によって決まっていますが、支払い代行であれば1時間あたり1000円~1500円、通帳などの書類預かりでは1ヶ月あたり1000円などと設定されています(港区社会福祉協議会、世田谷区社会福祉協議会のホームページより抜粋)。
認知症が進行したら成年後見制度の利用に移行
自分で契約等の手続きや財産管理ができなくなり、あんしん事業の範囲を超えた支援が必要になった場合は、成年後見制度への移行を検討しましょう。家庭裁判所が選任した成年後見人等が、家庭裁判所の監督のもと、財産を管理します。 具体的な財産管理事項 ●預貯金の通帳、そのほかの財産管理 ●有価証券などの管理 ●預貯金口座の開設・預入・払戻・解約 ●公共料金・介護保険料・国民健康保険料・生活・療養に必要な支払い ●税金の申告 ●不動産の管理・処分・契約など 表1のとおり、料金はあんしん事業に比べて割高にはなりますが、より幅広く専門家が管理してくれるので、もめごとが起こる余地はなくなります。