“母に悩む娘”はなぜこんなに多いのか?「しんどさを手放す4ステップ」を人気カウンセラーが解説
人気カウンセラー・根本裕幸さんの新連載、テーマは「しんどい母親の手放し方」。毒母持ちライター・M子への実際のカウンセリングをもとに、母と娘の関係がこじれやすい理由や、母親から自由になるための具体的な方法を教えていただきます。 第2回は、そもそもなぜこんなにも「母に悩む娘」が多いのか? その構造的な要因を紐解きつつ、これから始まるカウンセリングの流れ=基本の4ステップを解説します。
しんどさの根本にあるのは“母を愛せない罪悪感”
M子 第1回で「人の悩みの8割は親が原因」というお話がありました。人間関係の基本パターンは親から学んでしまうから、という理由にはとても納得がいったのですが、一方で不思議に思うのは、なぜ関係がこじれるのは母と娘ばかりなのか、ということです。 私は職業柄、人に会って話を聞く機会が多いのですが、そうやって仕事で出会う人たちの中にも、そして身近にも、母親との関係に悩む女性は本当にたくさんいるんですよね。もちろん母に悩む息子も、父がしんどい娘もいるだろうだし、みんながみんな私のように実の母を毒母と呼んでいるわけではないですが。 根本 長年カウンセリングをしてきた僕の体感からしても、母親にしんどさを抱える女性が多いというのは事実だと思います。これはやはり、女性の持つ“母性”が原因なんですが。 M子 母性、ですか? それって、人は性別によってもともとの性質にも違いがあるということでしょうか。 根本 いえ、そうではありません。母性は女性だけのものではなく、男性にも女性にも、性別に関係なく元来備わっているものです。ただ、人はまっさらな状態で生まれてきても、どうしたって男は男らしく、女は女らしくと育てられるでしょう。今は昔に比べればマシになりましたけれど、性別による抑圧をまったく受けずにこれた人はいないんじゃないでしょうか。つまり環境によって、女性の場合は父性よりも母性が、もともと持っていたものからさらに大きく育てられているんですね。 M子 なるほど。 根本 そうやって強い母性を持っていると、心の中では母親を面倒だな、うざいなと思っていても突き放すことができないんですよ。困っていたり頼られたりすると、相手が親ということで私が面倒を見なきゃ、私しかいないんだからという義務感も働いて、つい面倒を見てしまう。 M子 そうなんですよね。放っておけばいいのに、それができない……。 根本 そういう状況が続くと、娘のほうは次第に罪悪感を抱くようになります。われわれ中高年世代はどうしても「家族は助け合うもの」「親は敬うもの」というような価値観が刷り込まれているので、しんどいと思うことに後ろめたさを感じてしまうんですね。たとえ母親がどんな毒母であろうと、その母をどんなに憎んでいようと、娘のしんどさの根っこには必ず“母を愛せない罪悪感”があります。母に悩む娘が本当に手放すべきは、この罪悪感なんです。
根本 裕幸