介護職ですが、緊急時の呼び出しのために「自宅待機」の日があります。手当がつかず「無給」ですが、違法ではないでしょうか? 遠出もできず休んだ気がしません…
医療や介護業界では、休日や夜間などに生じる緊急時のために、「自宅待機」をすることがあります。職場から呼び出しがかかって業務にあたった時間は労働時間として扱われます。しかし、待機している時間は労働時間に含まれるのでしょうか? 本記事では呼び出しに備えた自宅待機が労働時間にあたるのか、などについて解説します。
緊急時の呼び出しのための自宅待機とは?
病院や介護施設で求められる「自宅待機」とは、休日や夜間の緊急事態に備えて、いつでも職場に駆けつけられるよう自宅などで待機することです。「オンコール勤務」とも呼ばれています。 職場によって自宅待機の条件はさまざまです。主に自宅待機中は以下のようなことに注意する必要があります。 ●いつでも電話に出られる状態にしておく ●携帯電話をマナーモードやサイレントモードにしない ●電波の届かないところに行かない ●遠出をせず自宅や職場の近くで待機する ●飲酒をしない 基本的には自宅などで自由に過ごせますが、呼び出しがあればすぐに気付くように常に携帯電話に注意したり、飲酒を避けたりする必要があります。
自宅待機は労働時間に該当するのか?
厚生労働省によると、労働時間の定義は「使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」とされています。 休日や夜間に呼び出され、業務にあたっている時間は当然ですが「労働時間」に該当します。雇用側は業務時間に応じた賃金を支払わなければなりません。 一方、自宅で待機している時間については、労働者に対する拘束力が低く「使用者の指揮命令下にない」とみなされ、労働時間として扱われない傾向にあります。 厚生労働省でも「労働時間に該当しない」事例として、「週1回交代で、夜間の緊急対応当番を決めているが、当番の労働者は社用の携帯電話を持って帰宅した後は自由に過ごすことが認められている場合の当番日の待機時間」を挙げています。
自宅待機に賃金の支払い義務はない
緊急時の呼び出しに備えて自宅で待機している時間は、基本的には労働時間として扱われません。そのため、仮に待機時間に対して賃金が支払われなくても違法とはなりません。 しかし待機時間は自由に過ごしても良いといっても、休日や夜間に仕事の連絡が来ないか気を配っていたり、外出や飲酒を制限されたりするとなると、自由な過ごし方を制限されているともいえるでしょう。 厚生労働省は自宅待機の時間は労働時間に該当しないとする一方で、行動の制限に対する対応として何らかの手当を支給することが望ましいという考えも示しています。 手当の支給の有無や金額は職場によって異なりますが、1回の待機につき1000~3000円が相場のようです。