勉強する気にならない 総合型選抜は無理?…「大学受験カウンセラー」に寄せられる悩みとは?
【相談例②】大学で何をやりたいかがわからないので、志望校を決められません。
●アドバイスのポイント: ・「何を学びたいか」ではなく、「どのような環境で学びたいか」を考える。 ・大学は、何をやりたいかがわからないからこそ行く場所、と前向きにとらえる。 こういった悩みを持つ生徒には、「何を学びたいか」ではなく、「どのような環境で学びたいか」という視点で志望校を絞ることを勧めています。 「キャンパスの所在地や広さ、共学か女子大かなどの要素に加え、注目してほしいのが在籍する学生数です。数万人の学生がいる大学であれば、たくさんの人との出会いを通じて自分の世界を広げられますし、数千人規模の大学であれば、同級生とより親密な関係を築けます。そもそも大学は、何をやりたいかわからないからこそ行く場所。中高生でも考えやすい切り口で少しずつ選択肢を絞り、大学進学へのポジティブな気持ちを高めていきましょう」
【相談例③】追い込まれないとエンジンがかからないタイプなので、まだ時間があると思うと、受験勉強をする気になれません。
●アドバイスのポイント: ・英検で段階的にモチベーションアップする。 ・大学受験は全国大会。長期的な準備が必要だと納得させる。 エンジンがかかれば一気に頑張れるタイプの生徒には、目標を細分化する「スモールステップ方式」で、だんだんとやる気を高める方法が効果的です。設定する目標として勧めたいのは「英検」です。 「何年生のいつまでに英検○級に合格する」とスケジュールを立て、それに沿って勉強していけば、少しずつ気持ちを盛り上げられます。英語は志望校や志望学部にかかわらず必要な科目ですし、年内入試の面接でも「国際問題に興味があるので、自主的に英語を勉強し、英検も取得しています」といったアピールができます。 高校2年生以上になれば、受験に対する意識を変え、短期間でやる気を引き出す方法も有効です。 「大学受験は、時間をかけて取り組まなければいい結果は出ないと納得すれば、おのずとモチベーションは上がります。これまでの経験で有効だと感じたのは、『近隣の生徒がライバルになる中学受験や高校受験は地方大会。全国から受験生が集まる大学受験は全国大会』と説明する方法です。部活が野球部の生徒なら甲子園を、音楽や美術の活動をしている生徒なら全日本コンクールをイメージし、それに大学受験を重ねて、『そういうことか』と腹落ちするのです。思春期の生徒の場合、こういった話は保護者ではなく、私たちのような第三者から言われる方が、素直に聞いてくれます」
家庭では「自己分析の手助け」を
子どもが自分の気持ちを整理し、後悔しない選択をするためには、まずはしっかりと「自己分析」をする必要があると、犬塚さんは言います。 「とはいえ、中高生に『自己分析をしなさい』と言っても、一人ではなかなかできませんから、ここはぜひ親御さんに手助けしてほしいです。親から、自分が生まれたころの世の中のことや小さいときに夢中になっていたもの、好きだった遊びなどを聞くことは、子どもが自分自身を知るいいヒントになります。ぜひお子さんといろいろな話をして、一緒に考える時間をつくってみてください」
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