フェロー諸島に敗戦、問われる日本ハンドボールの総合力 寂しいスタンドが奪った五輪前の緊迫感
パリ五輪壮行試合、29-30で敗戦
ハンドボール男子の新生日本代表が1日、東京・代々木第一体育館で行われたパリ五輪壮行試合でフェロー諸島に敗れた。29-30の1点差とはいえ、勝負どころでミスを連発するなど残念な敗戦。36年ぶりに予選を突破して臨む大舞台へ、弾みをつけることはできなかった。 【画像】「とっても可愛いし、美しい!」 世界の美女ハンドボール選手の画像 電撃的な監督交代で7年ぶりに復帰したカルロス・オルテガ監督のもとでの初戦。立ち上がりこそ先行したものの、前半終了間際にスカイプレーを決められ13-14と逆転されて折り返した。後半は疲れからかミスを連発。終了間際のゴールで1点差にしたが、終始リードを許す完敗だった。 バルセロナを率いて欧州CLを制したオルテガ監督が合流したのは16日。わずか2週間の練習で、チームは未完成だった。前任のダグル・シグルドソン監督の時から守備システムを大きく変えたが、狙い通りには機能せず。ギャップを突かれ、左右に振られて失点を重ねた。GKをあげた相手の7人攻撃への対応にも苦しんだ。 攻撃では、右足首負傷の司令塔・安平光佑が大事をとって7メートルスローに専念したのが響いた。武器とする素早いパス回しでゴールに迫ることもあったが、ミスからボールを奪われ、速攻を許す場面も目立った。 安平に代わって先発司令塔を務めたのは、この日22歳になった大学生の藤坂尚輝。スピードを生かした1対1では存在感をみせ、渡部仁と並ぶチーム最多の5ゴールを決めたが、周囲との連携は今ひとつだった。「ミスがあったし、まだまだです」。将来のエース候補と期待されるゲームメーカーだが、代表デビュー戦は苦いものとなった。 直前で落選した東江雄斗に代わり主将を任された渡部は「代表は結果を出してなんぼ。負けたので悔しさしかない」と話し、守備の要の吉田守一も「代表は勝たなければいけない」と言った。国内では22年の日韓戦以来、約2年ぶりの代表同士の試合。しかし、勝利を期待するファンの声援にこたえることはできなかった。