福島大、廃止校舎に水素研究拠点 教室に研究室、校庭に貯蔵タンク
福島大は、統廃合によって来年3月末で空き校舎になる福島市の金谷川小に「水素エネルギー総合研究所」の研究拠点を設ける方針を固めた。2025年度末をめどに、市から校舎と校庭を借り受ける見通しで、教室に研究室、体育館に水素製造の小型機械、校庭に貯蔵タンクを置くなどして水素エネ研究の拠点をつくる。空き教室への地元企業の参入も視野に入れており、水素エネの「地産地消」の取り組みを加速させる。 9日の市議会一般質問で市が明らかにした。同大は4月に水素研を開設。共生システム理工学類を中心に研究者12人がグループをつくり、水素エネの「地産」「地消」の各分野で研究に着手している。ただ学内に拠点がないため、研究室の空きスペースを使って研究に臨んでいる状況で、水素研として一体的な研究に取り組むための環境が十分に整っていない。 このため同大は8月、「ゼロカーボンシティ」実現の連携協定を結ぶ市に対し、大学近くにある金谷川小の校舎の活用を申し入れ、両者が協議を続けている。拠点化が実現すれば、バイオマス由来の水素製造プラントの設置や、地元企業と連携した「地産地消」の社会実証を進めていく方針。同大担当者は「研究者が行き来できる場所に拠点ができれば、水素研としてまとまりのある研究ができるようになる。水素関連の人材育成や技術開発の一大拠点化を目指す本県の取り組みに貢献していきたい」とし、市担当者は「産学官交流やスタートアップ企業設立などによる産業活性化が期待できる」と話している。19日から住民説明会 市と同大は19日から順次、住民への説明会を開く。19日は松川町で自治振興協議会の地区代表者に対し、市担当者や水素研の宗像鉄雄所長らが説明する。拠点の活用法については、説明会で出た住民の意見を生かし、詳細を詰める方針。
福島民友新聞