【高校サッカー選手権】聖望学園、夏の全国王者・昌平に4-3で逆転勝ちの“金星”
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選は11月2日、浦和駒場スタジアムで準々決勝が行われ、聖望学園が今夏のインターハイ(総体)で初優勝を飾った昌平に4-3で逆転勝ちする“金星”を挙げた。11月10日の準決勝(NACK5スタジアム)で、関東高校大会予選を制した正智深谷と対戦する。聖望学園のベスト4進出は2年連続3度目となる。 【フォトギャラリー】 昌平 vs 聖望学園 中断中の県1部(S1)リーグ首位の自信もあるのだろう。夏の王者に対して及び腰にならず、立ち向かっていった見事な逆転勝利だった。 前半9分に早々と先制されたが、これで吹っ切れたという。同点ゴールを決めたボランチの小山晃也(3年)は、「まだ時間もたっぷりあったし0-1なら想定内。あの失点でエンジンがかかり、自分がゴールを決めればいいと思ってプレーしました」と事もなげだ。 16分の右CK。ファーポストにいたエースFW太仲貴哉(3年)が、ヘッドでつないだボールを小山が頭でねじ込んだ。22分の勝ち越し点も右CKからだ。今度は主将のCB菅野陸斗(3年)が頭で折り返すと太仲がヘディングシュート。右SBペイトン有玖主(3年)が、相手DFに当たったこぼれ球を蹴り込んで勝ち越しゴールを挙げた。 しかしここから夏のチャンピオンの猛攻が始まる。主将の大谷湊斗(3年)ら、MF陣には年代別日本代表が3人顔をそろえ、巧みなドリブルと変化を付けた多彩なパス交換で聖望学園の守備網を崩しにかかった。 32、33、34、37分と左から右から中央から白色のユニホームが疾風迅雷のごとく攻めてきた。だが青色のユニホームはラインを下げ、ブロックを形成する守備陣形を選択せず、前に出る積極的な戦法で応戦。シュートに対しては出足の一歩で引けを取らずにブロックし、鋭いパスにもコースを消して決定的な最終パスを配給させなかった。 山本昌輝監督は2年前と同じ轍を踏まぬように準備したそうだ。3回戦で昌平と対戦した際、引いて守る作戦で臨んだら0-9という屈辱的な惨敗を喫したのだ。「夏ごろには選手権予選は、どんな相手にも引かずに戦おうと決めていた。今日もアグレッシブに敵ボールを奪いにいき、シュートコースに早く入る守備ができていました」と、してやったりの表情を浮かべた。 前半25分には、ショートカウンターから加点。ペイトンがスピード豊かに右を突破し、ボランチ遠藤浬(3年)から預かったパスを逆サイドに沈めた。「あのゴールは練習でもやっている形。1試合2得点は今年初めてだし、日本一のチームから取れてうれしい」と大喜びした。 後半7分に失点したが、24分の遠藤の4点目がものをいった。相手のクリアボールを拾ったボランチは、右足でスーパーな中距離弾を決めて決勝点を奪った。 7分あったアディショナルタイムの5分に失点し、1点差に詰め寄られたが逃げ切りに成功。昨季から守備ラインを統率する菅野は、「どんな相手にも積極的な守備を心掛けてきました。昌平は個の能力が高く、人数を掛けて攻めてきたが全員の力で跳ね返せました」と胸を張った。 昌平との選手権予選での対戦成績を1勝2敗にした山本監督は、「うちが勝つとは誰も思っていなかったはずだが、勝ちにきたんだという気持ちを前面に押し出してくれた。とんでもなく大きなヤマを越したが、昌平に勝つことだけが目標ではない」と大きな大きな1勝に満足せず、準決勝を突破して初の決勝進出と初優勝を見据えていた。 (文・写真=河野正)