石破おろし起きぬ自民 党内抗争の余裕なく 7日の両院議員懇が試金石
先の衆院選で議席を大幅に減らした自民党では石破茂首相(党総裁)の退陣を求める「石破おろし」は起きず、来週の首相指名選挙で石破首相が再選出される公算が大きい。危機的状況の中、野党に政権を奪われないことが最優先で、党内抗争の余裕はないからだ。ただし不満はくすぶっており、7日の両院議員懇談会が試金石となる。 【年代別でみる】石破内閣を「支持する」が「支持しない」を上回った唯一の年代は? ■「今度こそ国民に見放される」 同懇談会は全自民議員が参加でき、首相も出席する。首相は5日の党役員会で「意見をたまわり、今後の党運営にともに努力していきたい」と述べた。勝敗ラインの「与党過半数」を下回ったことから首相への不満が相次ぐ公算が大きい。首相に批判的な中堅議員は周囲に「辞任すべきだと言う」と息巻いた。 とはいえ、「即退陣」を求める声は広がっていない。来週の首相指名選挙までに交代させる時間がない上に、予算案などの可決に必要な衆院過半数の獲得に向けて現執行部の下、野党・国民民主党の協力を得る交渉も始まった。「今、党内で足の引っ張り合いをしたら、自民は政権を維持できない」(幹部)との認識が支配的だ。 旧安倍派中堅は「まずは経済対策。できなければ今度こそ国民に見放される」と語り、年内の今年度補正予算案の成立を目指すことを優先すべきだと語る。 ■交代圧力強まるのは来夏か 首相に批判的な議員が多い旧安倍派の実力者、萩生田光一元政調会長も1日夜のインターネット番組で「就任して1カ月。どんどん変えたら政権が不安定化する」と語った。反石破勢力から期待されている高市早苗元経済安全保障担当相も発信を控えており、党内の大勢が首相を見限る状況にはなっていない。 2、3両日の産経新聞社・FNNの合同世論調査では、首相は「続投してもよい」との回答が55・3%に達した。 反石破勢力の参院議員は「石破さんにはボロボロになっても来年度予算を通してもらい、退陣してもらう」と語り、来年度予算成立後の来年春の石破おろしを予告する。 平成13年には、当時の森喜朗首相が「7月の参院選を戦えない」との声の高まりを受け、予算成立後の4月に内閣総辞職した。来夏の参院選前に選挙の「顔」の交代圧力が強まる可能性がある。(田中一世)