「新幹線は必ずグリーン車」「接待交際費使い放題」…赤字企業に蔓延るヤバすぎる従業員【天領盃酒造買収劇3/4】
老後2000万円問題が叫ばれて久しい。しかし、生活水準を落としたくないのであれば「2000万円でも足りない」。政府の経済的支援を当てにすることもできない。現代日本ではサラリーマンであっても資産を形成することが求められている。そんな人は会社を買おう。もしあなたが一般的なサラリーマンならば、既に会社を経営するノウハウを自然と身に着けているのだ。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 本連載では、平凡なサラリーマンが会社を購入し成功した例を紹介しながら、具体的に「どうやって資本家として成功するのか」を『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著)から一部抜粋して紹介する。 『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』連載第43回 『「免許が新しく下りないのであれば…」24歳証券マンが「日本酒造り」で大成功した意外過ぎる方法【天領盃酒造買収劇2/4】』より続く
立て直す道筋が見えた
天領盃酒造はもともと佐渡にあった三つの会社が合併して1983年にできた酒蔵で、その後経営が悪化し、2008年に民事再生をして、中部地方のある酒蔵のオーナーにオーナーチェンジをしていました。 同社は観光客向けの木箱に入っているような高いお酒と、地元の人たちが飲む普通酒ばかりを造っていました。 しかし佐渡の観光客は年々減っているし、普通酒を飲む地元の人も減っており、経営は400万円ほどの赤字。特定名称酒である純米酒や純米吟醸酒を造れる小さな設備もあるのに、なぜか使っていませんでした。少ない人手で大量生産できる普通酒を造って昔は売れていたから、そのやり方を変えられなかったのでしょう。 2008年の最初のオーナーチェンジから10年間、新しいオーナーはほぼノータッチで、経営は実質、従業員が回していました。
衝撃的な財務状況
財務状況を調べてみると、従業員は経費を好き放題に使っています。新幹線に乗る時は必ずグリーン車を使い、飛行機もLCCには乗らずANA、JALを使うといった具合です。当然、接待交際費も使い放題。 運送も佐渡にある地元の運送会社を使えば、有人国境離島法の補助対象になるのに、手続きが面倒臭いという理由で日本郵便を使っている。運送費だけで年間数百万円レベルのマイナスです。 また、天領盃酒造の土地は借地でしたが、相場の2倍以上というとんでもない額の借地料を払っていました。さらに、まったく使っていないリースの設備がたくさんあり、リース代だけで年間100万円単位の支払いを続けていたこともわかってきました。 調べれば調べるほど、赤字の理由が明白です。経営がひどすぎるだけに、かえって立て直す道筋がはっきりと見えました。 きちんとマネジメントをし、支出を抑え、本当に美味しい酒を造って売れば、この酒蔵は蘇る、と。 赤字続きで、相手はすぐにでも手放したがっている会社だったので、売買交渉はスムーズでした。ただし、この酒蔵を立て直すためには資金調達が必要で、それは簡単ではなかったです。 『「これで100%賄える…」24歳証券マン兼社長が気付いた、誰も知らない「補助金制度」【天領盃酒造買収劇4/4】』に続く
三戸 政和(日本創生投資代表)