記録を出すためのシューズ活用術!久保凜選手ら 800mレベルアップの背景を元日本記録保持者が分析
スポーツブランド「On(オン)」の新作発表会が7月16日に都内で開かれ、Onのアスリートストラテジーアドバイザーであり男子800m前日本記録保持者の横田真人さんが、シューズの感想や使い方などについて解説しました。
今回発表されたのは「Prism Capsule(プリズムカプセル)」と名づけられたシリーズで、レース用の厚底モデル「Cloudboom Strike(クラウドブームストライク)」とトラック用スパイク「Cloudspike Citius」と「Cloudspike Amplius」、トレーニング用モデル「Cloudmonster Hyper」の4種類。Cloudboom Strikeはミッドソールだけでなくインソール(中敷き)も分厚くなっており、この2つが合わさることで推進力が発揮されます。
横田さんは「スパイクは品切れだったのではいていない」と前置きしつつ、Cloudboom Strikeについて「バイーンと跳ねて楽にスピードが出せる。(400m60秒など)中距離のスピードになると少し反発が遅れるかもしれませんが、僕がマラソンを走る時と同じキロ4分から3分40秒ぐらいのペースでは足を置くだけで勝手に進みます」と話しました。
レース用モデルを練習から使うべきかという質問に対しては「僕は練習からたくさん使ったほうがいいと思います」と回答。さらに、7月15日に高校2年生にして女子800mで日本人初の1分台となる1分59秒93の日本新記録を出した“久保建英のいとこ”こと久保凛選手(東大阪大敬愛高)の速さの要因についても分析しました。
「タイムを出したいのであれば、自分に合うシューズを見つけて、どれだけはきこなせるかがトップ選手でも大事になってきます。たとえば800mの男子は今季になって世界的に好タイムが出ていますが、これは厚底化したスパイクを選手が使いこなせるようになってきた影響があると思います。スパイクが進化してもしばらく記録が伸びてこなかったのは、それだけ使いこなすのに時間がかかる種目だったように感じます。日本も女子の1分台(=日本新記録)が出ましたが、今の高校生などの若い選手は、走り始めた時から厚底シューズがあったので、僕らのように薄底から厚底へ走りを切り替えるという場面がなかったはず。速く走るにはシューズにどれだけ慣れているかが大事なので、そういう意味でも普段の練習から(厚底シューズを)なるべくたくさんはいたほうがいいのではないかと思います」
また、厚底シューズの使用頻度を上げる際の注意点として「ケガのリスクもあるので、それに備えて筋力を補う必要もある」と補足していました。