テッパー氏がアリババ株保有倍増、ヘッジファンドは割安中国株に回帰
(ブルームバーグ): 米資産家デービッド・テッパー氏は前四半期に株価が高騰する米ハイテク企業への投資を減らした一方、売り込まれていた中国株を買い増したことが分かった。両市場のバリュエーションに記録的な差がある中、テッパー氏は中国に徐々に関心を高めているヘッジファンド運用者を先導している。
規制当局への提出書類によると、テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントは、中国の電子商取引大手アリババグループへの投資額を1-3月期に2倍以上に増やし、67億ドル(約1兆円)の株式ポートフォリオで最大の組み入れ銘柄とした。また、PDDホールディングスと百度(バイドゥ)株の保有を増やし、JDドットコム(京東)の株式と中国の上場投資信託(ETF)2本を新たに購入した。
テッパー氏は中国株のポジションを拡大する一方で、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディアなど「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク銘柄の保有比率を引き下げた。その結果、ファンドの株式ポートフォリオに占める中国株およびETFの割合は、四半期末時点で24%に達した。
今年の早い時期の急落で中国株のバリュエーションが米国株に比べて記録的なディスカウントとなった後、テッパー氏など世界の投資家が用心深く中国株に戻りつつある。四半期報告データによると、ヘッジファンドは1-3月期にアリババとPDD、百度の株式保有を増やした一方、JDドットコムや電子自動車(EV)メーカーの蔚来汽車(NIO)と理想汽車の株保有を減らした。
購入のタイミングは良く、MSCI中国指数は1月の安値から30%近く上昇している。政府系ファンドが相場下支えで介入し、中国政府の景気刺激策も勢いを増し始めたことが背景にある。
こうした相場回復の後でも、中国株の指標のバリュエーションは、今週最高値を更新したS&P500種株価指数の半分未満にとどまっている。