染谷将太「僕自身、作品ごとに新人の気分になる」2024年は映画8本に出演。オファーに対する率直な思い
「日常ではあり得ないものを想像して」
――例えば、織田信長や空海のような歴史上の人物から、『浦安鉄筋家族』や『聖☆おにいさん』といった、思いっきりギャグに振り切ったキャラクターまで、様々な役を演じる楽しさをどんなところに感じますか。 「基本的に自分が役を演じる上では、いくらリアリティがある役でも、僕の中では全部があり得ないものとして捉えています。なので、日常ではあり得ないものを想像して、そこに入って実際に体験するという経験は、どんな役であっても面白いですね。それに、作品というのは自分一人ではできないので、皆さんと一緒に作り上げる作業も好きです。 僕らの仕事は作品をお客さんに見てもらって初めて完成するので、見ていただいて、いろいろな感想や意見をもらえることも自分の中ではすごく刺激的です」 ――役によって別人のように見えるのがすごいなと思いながら毎回作品を見ているのですが、演じている時はどんな気持ちでいますか? 「僕自身、作品ごとに新人の気分になるといいますか、毎回新鮮な気持ちになります。それぞれやっていることが全然違うので、毎回職業が変わるような気持ちになるのがすごく面白いし、楽しいです」 ――現在32歳。役者としても、一人の男性としても脂がのってくる年ごろかと思いますが、今まで演じたことがない、これから挑戦してみたい役を教えてください。 「やってみたい役かぁ。う~ん、なんだろう(考え中)」
染谷将太さんが今後演じてみたい役は?
――そういえば以前、古田新太さんにインタビューした際「壁」役もやったことがあると仰っていましたよ。 「古田さんなら壁もありそうですね(笑)。でも、顔が出ない役はずっとやってみたいと思っているんです。例えば、ずっとお面を被っていて自分の顔が一切出ないような。 以前、映画『3月のライオン』(2016年)という作品に出演した時、特殊造形で体型を変えた経験はあるんです。たぶん顔も、見た方は自分だと気づかないようなメイクだったんです。表情は出ていたので、表情も全く表に出てこない役をいつかやってみたいなと前から思っています」 ――声優とはまた違って、ご自身が出演しつつも表情で表現できない分、芝居のやり方を考えないといけないのはかなり難しそうですね。 「そうですね。でも、ある種、顔や表情が表に見えているよりも顔が全く見えない分、演じる方も見ている方も、ものすごく想像力が湧くと思うんですよ。なので、いつかそういう役どころをやってみたいです」 破天荒な人物から、はっちゃけたキャラクターまで、様々な役を演じてきた染谷さんだが、特筆すべきはその「目」にあると思う。怒りや堪えきれない悲しみといった激しい感情から、切なさなど複雑で繊細な感情まで、目の動きひとつで表現し、見る者に強く訴えかける。今回の撮影でも、カメラマンから「レンズを睨む様に」といったリクエストがあった際、一瞬にして空気が変わった。そんな染谷さんが魅せる目の表情に、これからも注目していきたい。 取材・文/根津香菜子 ヘアメイク/光野ひとみ、スタイリング/林道雄 そめたに・しょうた 1992年9月3日、東京都生まれ。9歳のときに『STACY』で映画デビューし、数々の作品に出演。2011年には映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。近年の主な出演作品にドラマ『風間公親-教場0-』、『CODE―願いの代償―』、映画『陰陽師0』、『違国日記』、『若き見知らぬ者たち』などがあるほか、待機作に、映画『はたらく細胞』(12月13日)、『聖☆おにいさん THE MOVIE ~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(12月20日)が控える。 根津香菜子
根津香菜子