唐十郎を追悼、ドキュメンタリー映画「シアトリカル」17年ぶりに全国で再上映
5月4日に84歳で死去した劇作家・演出家の唐十郎を追悼し、2007年のドキュメンタリー映画「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」が12月14日より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次上映される。 【写真】東京・新宿の花園神社境内の紅テント公演で知られる 東京・新宿の花園神社境内での紅テント公演で知られ、状況劇場や劇団唐組を主宰し、アングラ演劇を牽引した唐。映画「シアトリカル」は2006年秋の戯曲の執筆から2007年春の公演初日まで密着し、芝居作りに懸ける唐の「偏執」ぶりを捉えた作品だ。のちに「なぜ君は総理大臣になれないのか」「国葬の日」を手がける大島新の第1回監督作としても知られる。このたび多くのリクエストに応える形で、17年ぶりの再上映が決まった。 大島は追悼上映に寄せ、本作で目標に掲げていた2つのことを説明しながら「撮影も編集も演出においても、初めて思い切りバットを振った。この作品が、作り手としての私をそれまでと違う場所に導いてくれた。唐さん、劇団員のみなさん、ありがとうございました。本作が時代を超えて多くの人の目に触れ続けることを、心の底から願っています」と語っている。全文は以下の通り。 ネツゲンが配給する「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」は、ポレポレ東中野で12月28日まで2週間上映される予定。神奈川・横浜シネマリン、愛知・シネマスコーレ、大阪・第七藝術劇場、兵庫・元町映画館、岡山のシネマ・クレール、長野の長野相生座・ロキシー、大分・別府ブルーバード劇場ほかでの上映が決まっている。 ■ 大島新 コメント □ 追悼上映に寄せて 20代から30代半ばにかけて、ずっとテレビで人物ドキュメンタリーを撮ってきた。それらの仕事のなかで、「本質に迫れていない。撮り足りない」と初めて感じたのが唐十郎さんだった。だから、映画化を企画した。テレビでは出来なかった二つの目標があった。一つは「唐十郎は唐十郎を演じているのではないか?」という疑惑を解き明かすこと。もう一つは、劇団員の芝居にかける思いを描くこと。撮影も編集も演出においても、初めて思い切りバットを振った。この作品が、作り手としての私をそれまでと違う場所に導いてくれた。 唐さん、劇団員のみなさん、ありがとうございました。本作が時代を超えて多くの人の目に触れ続けることを、心の底から願っています。 (c)いまじん 蒼玄社 2007