本場スコッチも ウイスキー復調の背景は
「30年ぶりの復調」と評される日本のウイスキー
当サイトでも関西でのウイスキー人気を報じましたが、視聴率20%超を続けるNHKの連続ドラマ『マッサン』も追い風となり、ウイスキーをめぐる状況は各地でさまざまに活気づいています。 今年創業80周年のニッカウヰスキーは、「節目の年に総力を挙げる」べく9月に新ブランド『ザ・ニッカ』シリーズを発売しました。豊かなモルト香が特徴の『12年』は発売早々から品切れ店が続出、濃厚芳醇な味わいの『40年』は50万円というプレミアム価格、700本の限定発売です。一方の雄サントリーは、主力工場のひとつ山梨・白州蒸留所に蒸留釜4基を増設。今年5月に子会社化した米最大手蒸留酒メーカー・ビーム社の、世界120ヵ国に広がる販売網を通じて海外市場開拓に拍車をかける方針です。 「30年ぶりの復調」と評される日本のウイスキー。ピークとされる1983年の消費量(ウイスキーとブランデーの合計)約38万3000キロリットルは、成人1人あたり4.5リットル、750ml瓶なら6本強に相当します。それが89年には23万3000kl(以下、ウイスキーのみ。単位同じ)、91年には20万klを割り、2003年に10万klを割る右肩下がり状態。2008年には7万5000klと最盛期の5分の1、1960年代前半の水準にまで落ち込んでいました(国税庁統計)。 その背景にあったのは、居酒屋チェーンを中心に一挙に盛り上がった焼酎&チューハイブーム。酒税面でも製造コストでも有利な焼酎が一気にブレイクしたのが80年代前半でした。続くドライビールブーム、さらにポリフェノール信仰を背景とした赤ワインブームなど他の酒類による「新しい飲み方」や「新しいテイスト」の提案に大きく後れをとった、ウイスキー冬の時代です。 再浮上のきっかけは、2008年に始まる「角ハイボール」キャンペーン。冷えたグラスに氷を入れ、ウイスキーをソーダで割る爽快な飲み方は、若い世代を中心に支持を広げ、全国1万5000店でスタートした扱い店舗は2年後10万店を突破、さらに増え続けているそうです。そこにシングルモルトウイスキーのブームが加わり、ウイスキー消費量は2009年から2011年にかけて8万4000klから9万7000klへと増加。今年8月までの出荷量も昨年同期を10%以上上回るなど、その復調は本物と見てよさそう(日本洋酒酒造組合資料)。カロリー控えめの蒸留酒、熟成樽由来のポリフェノールが溶け込んでいることなど、意外に(?)健康的なお酒であることもツボにはまる理由のひとつかもしれません。