『遙かなる時空の中で3』20周年。大切な人を救うため、時空を越えて悲しい運命を変えるスペクタクルラブロマンス【今日は何の日?】
悲しい運命を書き換えて最善の未来へ 2004年12月22日は、コーエー(現コーエーテクモゲームス)からプレイステーション2(PS2)用ソフト『遙かなる時空の中で3』が発売された日。本日で20周年を迎えた。なお、シリーズの原初『遙かなる時空の中で』は2000年4月6日に発売されており、来年(2025年)には25周年を迎える。 【記事の画像(4枚)を見る】 女性向け恋愛ゲームを手掛けるコーエーの制作チーム“ルビーパーティー”が贈る、“ネオロマンス”シリーズ第2弾『遙かなる時空の中で』。シリーズの3作目となるのが、本作『遙かなる時空の中で3』だ。 『遙かなる時空の中で』は、例外もあるがシリーズを通して日本の過去の時代を舞台にした物語が描かれる。そこに骨太なバトル要素も相まって、醸し出す雰囲気は風流かつドラマティック。何より、現代を生きる主人公が時空を越え、たどり着いた異世界で出会った仲間たちと強い絆を育んでいくというスペクタクルラブロマンスは、甘く、強く、そして切なくもあって、ときめきしか詰まっていないと言っても過言ではない。 さて、話を『3』に戻して……。本作の主人公は、高校2年生の少女・春日望美。白龍という神によって“白龍の御子”に選ばれた主人公(以下、御子)は、源氏と平家の戦いが日々激しさを増す動乱の時代へ時空移動をしてしまう。そして、もとの世界へ戻るために龍神の力を高め、御子を守護する“八葉”と呼ばれる男性たちとともに平家が使役する怨霊と戦いをくり広げていくことになる。 八葉たちとの絆は、会話や戦闘を通して深まっていく。とくに会話中に出現する選択肢による絆の上昇値は大きく、特別なイベントの発生や意中の相手とのエンディングにたどり着く大事なポイントとなるので、選択は慎重にならざるを得ない。慎重さが求められるなんて大げさと思われるかもしれないが、そのようにプレイヤーを駆り立てる背景があるのだ。 物語の途中、ある出来事をきっかけに京は大火に包まれ、御子たちは絶体絶命の状況に陥ってしまう。燃え盛る炎の中で「あなたを失えない」と告げた白龍は、自分の力の源である“白龍の逆鱗”を託し、御子を現代へ戻すのだった。 仲間を残し、ひとりで安寧な現代へ戻ってきた御子。あまりに急な出来事にしばし呆然となるが、白龍や八葉の言葉が胸に去来し、再び時を越えることを強く願う。そうして、白龍の逆鱗の力で再び過去の世界へと戻るのだ。二度と、悲しい別れをくり返さないために。 多くのプレイヤーの心を揺さぶったであろうこの出来事を機に、“章選択画面”で時空を越えて過去をやり直すことが可能に……つまり、運命を上書きすることで、運命を変えられるようになる。これが、本作最大の特徴“運命上書きシステム”だ。 怨霊との戦いで鍵を握るのが五行の属性。八葉や敵にはそれぞれ木、火、土、金、水のいずれかの属性が割り振られており、水は火に強く、火は金に強といった具合に強弱の関係がある。五行を無視すると大ダメージを負いかねないので、戦闘の際にはしっかり編成を考えなければならない。ちなみに、筆者は本作をプレイするとき、いつも五行関係図を模写したものをモニターの横に貼ってプレイをしていた。 戦闘に参加するのは御子を含めた4人。御子を中心とした円陣に仲間のキャラクターをセットして攻撃や術で戦うことになるのだが、本作の御子はそれまでと違って剣を構える姿が印象的で、戦闘への没入感が高くなったように思う。たまに仲間が敵の攻撃から御子をかばってくれることもあって、胸が熱くなったものだ。 2005年9月22日には新たに奥州・平泉ルートと新キャラクターが追加された『遙かなる時空の中で3 十六夜記』が、2006年3月23日には異世界から現代へとやって来てしまった八葉たちとの物語を描いた『遙かなる時空の中で3 運命の迷宮』が発売された。2009年にはプレイステーション・ポータブル(PSP)でそれぞれの移植作品が発売。さらに、2017年には『遙かなる時空の中で3』、『十六夜記』などをセットにし、フルボイス化した『遙かなる時空の中で3 Ultimate』がプレイステーション Vitaで発売された。