チョン・ヘインを語る上で外せない出演作7選 力強さとキュートさの振り幅に沼落ち必至
『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』
20年来の親友の弟との恋を丁寧に描きながら、複雑に絡み合っていく仕事・結婚・家族を映し出していく『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』。まるでドキュメンタリーを観ているような感覚で、叙情的でリアルな世界観にどんどん引き込まれていく。劇中で距離を近づけていく2人の姿は、とろけてしまいそうなほど甘く、口元が緩んで仕方ない。その一方で、近づくほどに高くなっていく壁は次第に苦しくなり、2人の幸せを願わずにはいられなくなる。 「ご飯をおごって」に込められた「また会いたい」の気持ちがどんどん膨れ上がる過程を見事に演じた年下男子ソ・ジュニ役が、チョン・ヘインだ。守ってあげたくなるようなかわいさと共に心臓を鷲掴みにするような一言を言い、名前を呼んで微笑みかけたかと思うと、"もう子どもじゃない"と言わんばかりの頼もしさを発揮したり、目で色気を放ったりと、視聴者の感情は大忙し。飲み会のテーブルの下で恋人繋ぎをしたり、上着でハグしたりと、挙げきれないほどの名場面を生み出しており、ジュニというキャラクターの虜になってしまうと思う。
『ある春の夜に』
4年付き合った彼との結婚に悩む図書館の司書と、ある出来事を機に全ての感情を抑えて生きてきたシングルファザーが惹かれ合う姿を描く『ある春の夜に』。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』と同じ監督・脚本家が作品を手掛けている。演技に見えない自然体な2人が良く、お洒落なOSTと景色は春の匂いを感じさせる。 チョン・ヘインは、一児の父ユ・ジホを演じる。父としての葛藤を抱きながら、心の奥にしまい込んでいた自身の感情を取り戻していく過程が見どころの一つ。嬉し過ぎた時に笑いを通り越して涙したり、身体中から湧き上がる怒りを静かに表現したり、叱られた時には可愛すぎる笑顔と共に謝ったりと、一つ一つの繊細な彼の演技がとにかく素晴らしく、何度も観たくなる。
『刑務所のルールブック』
『刑務所のルールブック』は、メジャー契約を控えたプロ野球選手が、一夜にして刑務所に入ることとなってしまうヒューマンサスペンス。本作は、『応答せよ』シリーズのシン・ウォンホ監督と、『ラケット少年団』の脚本家チョン・ボフンがタッグを組んだ一作だ。劇中では、厳しい監房生活を生き抜くために、同じ監房で暮らすキャラクターたちと支え合う日常や、野球にしか興味のなかった主人公の新たな成長を描いていく。昨日の当たり前が全く通用しない世界で、いつしか主人公の夢が全員の夢となり一致団結していく過程に涙腺崩壊してしまう。 ブチ切れた目と、怒りに溢れた叫び声で登場するのが、ユ大尉を演じるチョン・ヘイン。ある出来事によって収監され、深く傷つきながらも前へ進もうとしていく。黙々と拳で腕立て伏せをし、几帳面で、1人で悩みを抱えてしまうこともあるが、ハニャン(イ・ギュヒョン)をはじめとする周囲と心を通わせていくことで変化していく姿が見どころの一つ。鋭かった眼差しが、徐々に柔らかくなっていく。また、名場面「一列ウォーキング」からのチェーンソーを抱える彼の姿も見逃せない。