ソフトバンク、低遅延な「交通理解マルチモーダルAI」開発
ソフトバンクは、低遅延なエッジAIサーバーで動作する自動運転車の遠隔サポート向け「交通理解マルチモーダルAI」を開発した。自動運転車の運行業務の完全無人化を目指し、10月から慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)で実証実験を開始している。 【この記事に関する別の画像を見る】 「交通理解マルチモーダルAI」は、自動運転車のドライブレコーダーなどの前方映像と、交通状況を問うプロンプトを入力することで、複雑な走行状況を判断し、安全な走行を可能にするための推奨アクションを生成する。自動運転の課題である、安全性の向上と運行コストの削減を、車外からサポートする仕組みで、汎用的なAI基盤モデルに、日本の交通教本や交通法規、一般的な走行シーン、予測困難な状況下でのリスクと対処法を学習させているという。 このAIを活用した遠隔サポートソリューションでは、自動運転車に搭載したカメラの映像を5Gネットワークを通じてリアルタイムでMEC(Multi-access Edge Computing)に送信。MEC内のGPUで動作する「交通理解マルチモーダルAI」が映像を分析し、リスクと対処法を即時に言語化。自動運転車がリスクを判断できない複雑な状況でも、遠隔サポートを可能にする。現状では遠隔監視者がこの情報を基に自動運転車へ指示を行なうが、将来的にはAIから直接指示を行ない、運行業務の完全無人化を目指す。 実証実験では、「横断歩道の手前に停車中の車両がある状況での走行」をシナリオに検証を行なった。このシナリオでは、車両の影から横断しようとする歩行者を見落とすリスクがあり、道路交通法では一時停止が義務付けられている。このケースで、AIが「横断歩道の手前に停車中の車両があります。歩行者が飛び出してくる可能性があるため、一時停止してください」と生成し、遠隔から自動運転をサポートできることを確認した。
Impress Watch,佐々木 翼