プロ野球ファンクラブの「充実度ベスト3」はどこ? 全12球団に20年間入り続けた男が認定!
翌年からプロ野球12球団ファンクラブ全部に入会した長谷川は、そこから20年間、次々と送られてくる会員特典やサービスを徹底検証。毎年「GOY(グッズ・オブ・ザ・イヤー)」「FOY(ファンクラブ・オブ・ザ・イヤー)」を独自に認定して、ついには『プロ野球12球団ファンクラブ全部に20年間入会してみた』(集英社刊)という本まで出版した。 そのなかで長谷川は各ファンクラブのサービスについて、「どれだけ心が動かされたか?」を評価基準に「充実度」を数値化。2005年から2024年まで20年間の合計ポイントをランキング化し、「12球団ファンクラブ通信簿」として掲載している。8月に東京・書泉グランデで行なわれたトークショーでのコメントも交えながら、栄えあるトップ3の球団を見ていこう。 まず、第3位は東京ヤクルトスワローズ。 熱烈なヤクルトファンであり、スワローズ関連の著作も多い長谷川だが、「だからこそ、絶対に私情は挟まない」と宣言。そもそもヤクルトファンクラブへの不信感から始まった12球団ファンクラブ制覇だったが、「先行する他球団に追随しながら年々地道な改革を続けてきた。とくに2013年、『スワローズクルー』として生まれ変わってからはセンスのいいアイテムを続々と提供しており、観戦特典、グッズ特典、ポイント制の『スワレージ』システム、ふれあい&体験特典などがバランスよく充実している」と高く評価している。 また、「この球団には"つば九郎"という圧倒的スターがおり、彼をモチーフにしたアイテムが多彩。つば九郎以外でも黒字に黒でチームロゴをプリントするセンスが光る2019年のバックパックなど数々のヒットを連発し、総合的な完成度は群を抜いている」としてFOYを4回、GOYを1回受賞。堂々のセ・リーグトップに輝いた。
続いて、第2位は千葉ロッテマリーンズ。 2005年から2014年までの10年間、「ロッテはファンクラブ界最強の先行者にして、最大の功労者」であり、「ロッテが基準であり、すべての球団がロッテファンクラブ並み、さらにはそれ以上の高いレベルになれば、ファンクラブ界には明るい未来が待っている」と長谷川は考えていた。 その後、「存在感が薄くなった」時期もあったが、2016年「OUTDOOR PRODUCTS」とコラボした2wayディパックや2018年のスウェットスタジアムジャンパー、2020年のZOZOマリンスタジアムを模したエアソファなどが人気を集め、かつての独自性が復活している。FOYを3回、GOYを1回受賞。「今後は "ロッテリア試食券"の復活をはじめ、ロッテ製品の特典化など食特典のトップランナーを目指してほしい」とのこと。 そして、「12球団ファンクラブ通信簿」で堂々の第1位に輝いたのは、埼玉西武ライオンズだ。 「2007年、松坂大輔の海外移籍にともなうポスティングマネーを投じた、いわゆる"松坂ファンクラブ革命"によって一気に球界有数のファンクラブに躍り出ると、その後も各種特典が大充実。西武ファンクラブのファンクラブ殿堂入りを真剣に検討すべきではないか?」とまで考えたと長谷川は言う。 2016年には待望のハイグレード会員が新設され、よりハイレベルなグッズが続々と誕生。なかでも2021年の「レオシルエット掛け時計」は大のお気に入りだ。また、「他球団にはない独自の"生活密着路線"を開拓し続け、これまで2019年の西武ファンクラブだけが実現させた"ボトムスの特典"である『ステテコ』は日々愛用している」というほど。FOYを2回、GOYを3回受賞。 生活グッズだけでなく、「早期入会特典の『オリジナルDVD』も選手たちの座談会など撮り下ろしコンテンツが味わい深い。近年は有力選手の流出が相次ぎ、不本意なシーズンが続いているが、野球もファンクラブもトップに君臨していた頃の"西武ブランド"を復活させるべく新たな時代を切り開いてほしい」とエールを贈っている。
毎年送られてくる大量の段ボール箱に居住空間を奪われながら、長谷川は「いつまでこの生活を続けようか?」と自問自答することもあるという。誰かから強制されているわけでも、命令されているわけでもなく、やめようと思えばいつでもやめられる。でも、20年が経過した今でも自信を持って「楽しい」と言うことができる。ちなみに、20年間、のべ240年分の会費総額は216万2685円とのこと。 2024年秋、「12球団ファンクラブ評論家(R)」の長谷川晶一は、早くも手続き可能な6球団の2025年ファンクラブ入会申込みを終えている。
宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya