【飯塚事件】第2次再審請求の行方③DNA型鑑定 一部を切り取った鑑定写真 証拠能力を事実上否定 福岡
そのころ、DNA型鑑定を取り巻く状況は変わり始めていました。きっかけは「足利事件」です。 ■呼びかけ 「菅家さん、釈放おめでとうございます。」 DNA型鑑定によって犯人とされた菅家利和さん。しかし、そのDNA型鑑定は初期のもので、その技術に疑問が生じていました。そこで、最新の方法で鑑定をやり直したところ、DNA型が一致せず、当時の鑑定の誤りが明らかになったのです。 ■菅家利和さん 「無実の私が足利事件の犯人にされたのは、科警研の間違ったDNA鑑定のためであり、絶対に許さないと思いました。なぜなら私と同じ間違ったDNA鑑定で、飯塚事件の久間三千年さんの死刑を執行されてしまったからです。」 足利事件と飯塚事件。2つのDNA型鑑定は、警察庁科学警察研究所の同じ技官が、同じMCT118型鑑定で行っていたのです。 さらに、新たな事実が明らかになりました。
これはDNA型鑑定の実験結果の写真です。科警研は、これらが犯人の型で、この型が久間氏と一致するとしていました。ところが、弁護団がこの写真の元のフィルムを調べると、裁判で使われた鑑定写真は一部を切り取ったものだと分かったのです。そして、隠されていた部分には、久間氏のものとは違う型、つまり真犯人の可能性がある型が出ていたといいます。 ■德田弁護士 「私たちはこの点を追及したところ、検察側は科警研はどういう説明をしたか。不規則に出てきたエラーですと。だからこれはエラーなのでカットしましたと。エラーであることは実験して確認しましたと、こう言ったんです。じゃあ、その実験のデータを出してくれと言うと、その実験のデータ、写真、実験ノートは廃棄されてありませんと言ったんです。そういうことを一切見せたくないので、カットしたり暗くしたりして見えなくした。」
再審請求を申し立てて4年余り。 ■生野真吾記者(2014年3月) 「請求は棄却です。請求は棄却されました。死刑執行後としては初となるケースとして注目を集めた今回の決定、請求は棄却です。」 福岡地裁は裁判のやり直しはしないと決定。最高裁でも再審請求は棄却されます。ところが、福岡地裁の決定には、驚くべき判断が記されていました。
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