ファーストサマーウイカ「シンプルに嫌」 『光る君へ』ききょうの複雑な心境を明かす
吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第38回「まぶしき闇」の放送後には、ききょう役のファーストサマーウイカ、宮の宣旨役の小林きな子、あかね役の泉里香、そして藤原頼通役の渡邊圭祐が登場した。 【写真】今週末からいよいよ登場 成長した賢子役の南沙良 第38回では、まひろ(吉高由里子)の元にききょう(ファーストサマーウイカ)が訪ねてきて、まひろの物語への思いを打ち明ける。 まひろはききょうから「私は腹を立てておりますのよ、まひろ様に」「『源氏物語』を恨んでおりますの」と言われてしまった。ききょうを演じるファーストサマーウイカが「君かたり」の中で述べていたように、あのやりとりはこれまで丁寧に編み込まれていたまひろとききょうの絆がほどける瞬間だった。 ファーストサマーウイカは「ギュッと結ばれた糸たちがパツンって切られる瞬間、この女同士の友情の中の糸がほつれていく感じというのが本当にリアル。『リアルだな』と思って、『嫌だな』って思いました。シンプルに嫌ですね」と語っている。また、ファーストサマーウイカは友達だと思っていたまひろに裏切られたと思っていると述べ、彼女が口にした「腹が立っている」「恨んでいる」という言葉には「悲しさがあったと思うんです」ともコメントしていた。 「私がいかなる世となろうとも、皇后、定子様のともし火を守り続けてまいります。私の命はそのためにあると思っておりますゆえ」 ききょうと別れた後、ききょうの言葉を一人思い返していたまひろに声をかけるのが小林きな子演じる宮の宣旨だ。「皆様は、どういうお気持ちで宮仕えをなさっておられるのかと考えておりました」と打ち明けたまひろに、宮の宣旨は「そなたは何のためにここにおる?」と問いかける。まひろと宮の宣旨のやりとりは終始穏やかだ。まひろと賢子(梨里花)の仲がうまくいっていないことを言い当てた宮の宣旨の「夫婦であっても、親子であっても、まことに分かり合うことはできぬのではなかろうか……。さみしいことだが」という言葉が、まひろの心にどう響いたのかはまだはっきりとは掴めない。ただ、宮の宣旨がまひろを気にかけていることは伝わってきた。 宮の宣旨ら女房たちは第32回の終わりに初めて登場した。この場面では、まひろを見やる女房たちのまなざしが冷ややかに見え、不穏な空気が漂っていた。だが、宮の宣旨は他の女房たちに比べるとまひろへの対応が中立的だ。それは他の女房たちよりもやりがいを持って宮仕えしていることの表れかもしれない。小林は、宮の宣旨について「女房という仕事をたぶん天職と思っていると思うんですよね」と語り、「(“姫様”感が抜けていない他の女房たちを)まとめていくって結構、大変なことだと思うんですけど、やりがいを感じているんだろうなというふうに思っています」とコメントした。小林曰く、宮の宣旨は中宮・彰子のことを一番に考えているからこそ、まひろには嫉妬を向けるのではなく「変わり玉のすごい人が来た」という気持ちだったと語る。 小林はインタビューの中で、まひろに語った言葉の真意を語っている。 「大切な帝・中宮様ではあるけれども、その前に自分と自分の家族が幸せじゃないと、働くのも自分自身の幸せがあってだからこそ、誰かを幸せにできるとか誰かのために心も体も健康で尽くせるんじゃないかなって思っていました」 もう少し肩の力を抜いてもいいのでは、と寄り添う宮の宣旨の姿は人間的な魅力のある理想の上司に映る。それは小林が表現する穏やかな佇まいと台詞の言い回しがあってこそ。まひろが思い悩む時、彼女の心を軽くするものの一つとして、宮の宣旨とのやりとりが登場するのを期待したい。
片山香帆