スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
スバルによれば、クロストレックのチューニングにあたり、医療関係者にアドバイスを受け、肉体的なストレスや疲労の原因となる騒音や振動の軽減を図ったそうだ。結果、シートは先代にあたるXVより頭部の揺れを44%抑えた。また、ツーリング時の洗練性を高めるべく、特定の周波数域の音圧を最大50%低減している。 路上では、それらの改善を実感できないかもしれない。というのも、このクルマのキャビンは静寂に包まれているわけでも、乗り心地がゆりかごのようにスムースなわけでもないからだ。それでも、乗り心地はまずまず安定した、落ち着いて穏やかなもの。車高を上げたハッチバックに予想するようなピッチやトス、波打ちはきっちり回避している。 A級道路でもB級道路でも、ほとんどの入力はキャビンを騒がすことなく吸収するしなやかさも持つ。マッド&スノータイヤは、舗装路専用タイヤほどセカンダリーライドをおとなしいものにしてはくれないが、それでも洗練度を大きく引き下げてはいない。 80km/h巡航時に62dBAという室内騒音は、競合モデルを凌いでいる。フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 eTSIやホンダHR-V、メルセデス・ベンツA200 AMGラインは、いずれも64dBAだった。 当然ながら、すべてはCVTを用いたパワートレインを低い回転で使ってこそ成り立つ話で、常にそれを実現できるわけではない。それでもスバルは、荒削りになりそうなクルマを、うまくしつけられたものに仕上げている。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ニッチなポジションを考えると、価格競争に加わる必要性の薄いクルマだ。しかし、その能力を考えると、2024年のマーケットにおいて3万5000ポンド(約665万円)以下からの価格設定はかなりバリューが高いといえる。 このクラスのトップ5として挙げたモデルからわかるように、同じようなサイズで、同じようなデュアルパーパスを備え、価格帯が近いクルマはきわめて少ない。しかもそれらのほとんどは、もっと角張った、いかにもSUVといったスタイルだ。そんな中で、クロストレックの販売台数の少なさは、残価率にも優位に働くだろう。 燃費は残念な数字だった。少なくとも、燃料を食うスバルのボクサーエンジンになじみのないユーザーはそう思うだろう。ツーリングで16.0km/Lというのは、このクラスでは悪くはないが、いい数字でもない。しかし、平均12.5km/Lというのは効率に優れると言い難い。もしも経済性を考えずに走らせたら、このCVTはこういう燃費になる可能性があるということだ。