スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
■インフォテインメント クロストレックは、タッチ式の縦型11.6インチ画面を使用する、スターリンクことスバル最新のインフォテインメントシステムを標準装備。ツーリング仕様にはナビも備わるが、ワイヤレスのApple CarPlayと有線接続のAndroid Autoも使用できる。 ソフトは十分に反応がよく、レイアウトも上々。しかし、スバルが各部の使いやすさを追求していることを考えると、実体カーソルコントローラーの類が用意されなかったのは驚きだ。 このシステムは、運転支援機能へのアクセスもしやすい。一番気になったのは、古臭いグラフィックとフォントかもしれない。変更を加えたはずなのだが、それでも90年代のSFを思わせるところがある。 ■燈火類 自動ハイビーム付きLEDヘッドライトは、上位グレードには標準装備。それほどパワフルではないが、減光は素早く、防眩機能には優れる。 ■ステアリングとペダル スロットルもブレーキも、ペダルのサイズは良好で、広いフットウェルに理想的な配置がなされている。ステアリングコラムは、脚の長いドライバーだとややテレスコピック量が足りない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
新型のデュアルピニオン・パワーステアリングは、最新のWRX用に開発されたが、クロストレックにも採用された。目的は、センター付近でのフリクションを減らし、ハンドリングフィールをより精確にすることだ。 重心が高く、オン/オフのデュアルパーパスタイヤを履いたクルマでは、予想できるかもしれないが、変革的にダイナミックな進歩を得られるものではない。それでも、クロストレックがモアパワーを容易に受け止めるだろうことは疑う余地がない。 操舵は一定してやや重めの手応えで、ギア比は中くらい。過剰にロールすることなく路面にグリップし、タイトコーナーの出口でもパワートレインに見合ったトラクションを生んで、アンダーステアに陥ることがない。 要するに、20年前のスバルのドライバーズカーのように、ターンインから落ち着いて進み、安定してコーナーを抜ける感じが、このクルマにもあるということだ。そのうえ、サスペンションは大きなホイールトラベルとプログレッシブなダンピング、良好な垂直方向のボディコントロールを備えている。 悲しいかな、クロストレックは走り重視のドライバーを満足させるクルマではない。とはいえ、かつてWRCを席巻した頃のスバル車のような走りを期待しなければ、とくに不満を覚えるようなものではないのもまた事実だ。