日本人の英語力「世界92位」凋落は国際競争力低下と“連動”、弱点克服ツールはChatGPT!?
● 116カ国・地域でクウェート、中国の少し下 2011年は14位、順位低下が目立つ日本 国際語学教育機関・EFエデュケーション・ファースト(本部・スイス)の2024年調査が24年11月13日に発表された。それによると、英語を母国語としない116カ国・地域のうち、日本人の英語力は92位だった。アジア23カ国・地域では16位だ。 日本と英語力がほぼ同水準の国は、どんなところか? まず、カーボベルデ(聞いたことがない人がほとんどだと思うが、アフリカ西海岸にある島国)とクウェート。これらの国はともに89位で日本より少し順位が高い。中国は91位でこれも日本より高い。日本の現状は危機的といってもよいだろう。 日本のランキングはもともとこんなに低かったわけではない。初回調査の11年には14位だった。この時は参加国が約40カ国だったという事情もあるが、それにしても日本の低下ぶりは著しい。 問題は、英語力の低下は経済力の低下とも連動しているように考えられることだ。 ● 競争力低下は国際感覚が低いことが一因に 人材の質の低下は停滞の大きな原因 IMD(スイスにある国際経営開発研究所)が作成する「世界競争力ランキング」では、日本人の国際感覚が低いことが日本の順位を下げる大きな要因になっている。 特に、上級管理職の人々の国際的な感覚が低いことや国際的な事情の変化に対して柔軟に反応していないことなどが指摘されている。こうなってしまうのは、日本人の言語能力が低いことの反映だと考えざるを得ない。 例えば、EFエデュケーション・ファーストの24年調査では、韓国の英語力は50位で日本よりだいぶ上位だ。
韓国の人々の英語力は、私の印象だと、かつてとはまるで違う状態になっている。私と同世代の韓国人の英語力はかなり低かった。ところが現在の若い世代は、国際的に活躍している人も多く、英語力は極めて高い。 これは韓国人が英語の勉強に極めて熱心であるためだ。韓国の経済成長率の高さは、英語能力の向上と決して無関係ではない。 本コラム『物価と賃金の「好循環」は本物か?生産性上昇が伴わない賃上げは危うい』(2024年11月28日付)で、日本経済の最も重要な課題は生産性が上がっていないことであり、生産性の向上のためには高度人材の育成が必要だと指摘した。日本の人材の質が、世界比較で見て低下しており、日本経済の生産性が向上しない最も基本的な原因の一つであることは間違いない。 ● 英語の学習にChatGPT活用が有効 個人のレベルに応じた“最高の家庭教師“ しかし、こうした状況を解決しようと思えば可能だ。そのための手段が急速に開発されているからだ。 特に重要なものとして、ChatGPTがある。 英語の勉強にChatGPTを活用する計画が、文部科学省の後押しで進んでいる(なお、英語以外の外国語の勉強についても、以下に述べるのと同じ方法が使える。外国語の勉強は英語に集中することが考えられるので、ここは「英語」という表現を用いる)。 例えば、ChatGPTを使えば、個人個人のレベルに合った勉強ができる。 人間の教師は、最初に使い方の基本を教えるだけで、あとはほとんど必要ない。学ぶ側は自分一人で、いつでも、いくらでも勉強ができる。最高の家庭教師と言える。 このことは他の学習についても言えるのだが、ChatGPTはしばしば誤った回答をすることが問題だ。これは「ハルシネーション」とよばれる現象で、現在のところ抜本的な対処策がない。 しかし、英語の学習では、間違った答えを出す確率はかなり低いと考えられる。このため、英語はChatGPTの活用に最も適した学科だと考えることができる。 勉強を進めるのには、ChatGPTが使える環境以外に、特別に必要とされるものはない。英語の勉強に特化したさまざまなアプリが開発されているが、それらを使わず、現在あるChatGPTをそのまま使うだけでよい。有料版を使う必要もないだろう。 ChatGPTの利用法として、英語の学習は最も効率が高い分野だ。