窪塚洋介&亀梨和也が選んできた負の感情の手放し方「出来事は全部より良くなるためのものと思うと感謝ができる」
昔から分類分けをされるのがあんまり好きじゃなかった
――ひとつの断面で判断してはいけないですね。お二人みたいに表に出る立場の人って、どうしても何か1つの出来事で「こういう人なんだ」って見られがちな対象であると思うんですけど、今作をやったことで、そんなことをより感じるところはありましたか。 窪塚 昔から分類分けをされるのがあんまり好きじゃなかったんですよね。真面目なようで、すごい不真面目で、すごい奇抜なようで、すごい普通で……みたいな、相反するものを提示したり、手に入れようとしてきた気がします。この人は正義の人だよねとか、この人は悪い人だよねっていう風に分類されることを嫌った結果、俺は俺でいいっていうか。人からの評価じゃなくて自分を持つことで、人からどう見られるかっていうイメージがある意味、どうでも良くなった。分類されないようにしてきて、曖昧さみたいなものを突き詰めた結果、自分になるっていうようなことがあったんで、その道を選んで良かったです。 亀梨 僕の場合はいろんなお仕事もさせてもらっていて、その時々の印象が多分、違うんじゃないかな。でもどれも全部自分。よくも悪くも、ある側面だけでいろんなことを評価してもらいがちで。僕も25年以上、この世界にいて、苦しんだ時期ももちろんあったし、亀梨和也というイメージに抗いたいみたいなところもあったけど、それはそれというか。ありがたいことに自分を理解してくれる方たちがいてくれるので、今の自分がいますね。 ――この作品の登場人物たちは、復讐心で生きています。復讐したいほど、怒りの感情に支配されてしまったときは、どのように負の感情を手放すようにしていますか? 復讐というほど大袈裟なものでなくても、お二人の日々のネガティブな感情の解放の仕方が知りたいです。 窪塚 「ムカつくな~、コイツ!」って思う人っているじゃないですか。でも、眠る前に思い出して、イライラしながら眠るのは嫌だし、基本的にはそういう人のことを考えたくない。だから、考え方の問題で、嫌なやつは、自分を強くしてくれる存在だと思うようにしています。 ――なるほど。 窪塚 自分の力ではどうにもならないような大きな出来事を含めて、起きることは全部より良くなるために起こってるんだという風に思うと、怒りの根源にも感謝できる。まぁ、本当に感謝できるかどうかは置いておいてもね、そういう風に考えればいいっていう道筋があるかないかで全然違うと思う。なるべくストレスが溜まらない考え方ができたらいいよね。 亀梨 本当にそうですよね。 窪塚 もう嫌な人とは、向かい合わないっていうか。そいつを宇宙から見てやろう。サテライトで……っていう感覚(笑)。 亀梨 ああ、僕もめちゃくちゃ考え方が近いです。そもそも、最近あまりイラっとすることがない。 窪塚 おっ、一緒。俺もそうだから。 亀梨 若い頃はね、ぶつかることもたくさんありましたけど。それは、自分と違うものに対してのキャパがなかったから。「この人、いい人だな」「この人、大好きだな」って思える人や自分と相性がいい人っていますよね。一方で、自分とは違う、自分が見えてない角度でモノを見ている人もいるわけで。今なら、その人の角度で物事を見てみようかなって思えますね。 窪塚 そうだよね。 ――見習いたいです! 亀梨 僕、グループで活動してるんですけど……昔の話をしていいですか? 窪塚 ははは。もちろん。(グループ活動していることは)みんな知ってると思うけど(笑)。 亀梨 昔、本番ギリギリまでゲームをやっていた子がいたんですよ。その当時は、正直カチンときてました。でも、大人になって、いろんな人と出会って成長してきて、いい時も悪い時もいろいろ経験してきて。緊張から解放されるために本番ギリギリまで違うことにトリップして、本番のこと考えたくなかったのかもしれないって思えるようになった。若い頃は、同じ場所で、団体で動かなきゃいけない時って、自分の物差しで人を見ちゃってたけど。こうしなきゃいけないっていう正解は極論ないよな……みたいな。もちろん人に対して、イラッとさせるような感情を持たせないようにするのってマナーだとは、思うけどね。ただ、大人になればなるほど、受け取り方のキャパが大きくなったのかなって思います。 ――いろんな角度から物事を見られて、受容力がすごいですね。 亀梨 まぁ、本番直前までゲームやっていて、本番ミスしたらダメなんですけど。リズムの作り方は、人それぞれ。自分とは物語も生き方も違うわけだし。違って当然。 ――考え方も生き方も本当に十人十色ですね。 亀梨 そういう考えになれたのは、自分自身の弱さも分かってるからこそなのかな。20代前半は、自衛隊さんが3日間登山に挑むドキュメンタリーを観た時、最後の最後に「ダメだ」ってリタイアする人間に対して「なんでリタイアするんだよ! なんで、あきらめるんだよ!」って思っていたけど(笑)。今は自分の弱さも寄り添えるからこそ、リタイアしてしまう人の気持ちも分かりますね。