「町田ゼルビアは決して悪ではない」黒田監督が“ジャイキリ”許した筑波大後の発言を撤回しなかった理由とは…先発全員を入れ替えて横浜F・マリノスに逆転勝利
平河と藤尾はU-23日本代表のアメリカ遠征から、13日の午後に帰国したばかりだった。現地時間11日のU-23アメリカ代表との国際親善試合を終えた直後に、町田のマネージャーを通じて、黒田監督のメッセージをラインで受け取った。 「試合後はすぐには寝ずに、日本時間に合わせて飛行機で寝るようにしました」 平河とともにほどこした時差ぼけ対策をこう明かした藤尾は、マリノス戦の前日に町田へ合流した。黒田監督は「すごくいい顔をしていたので、彼らに任せようと思った」と2人の先発起用を決めた。今シーズンのゴール数を7に伸ばした藤尾は言う。 「SNSで書かれることは、僕たちにはコントロールできない。なので、それを気にしてもしょうがない。僕たちは僕たちで何も考えずに、というか、コントロールできるのはプレーで示す部分だけなので、試合に集中するだけでした」 4分後の後半16分には、下田が自らの突破で獲得した直接FKをゴール右隅へ決めてダメ押しした。今シーズンのリーグ戦で町田は4敗を喫している。直近では1日のアルビレックス新潟との前節で敗れているが、これで黒星を喫した次節では4連勝をマーク。J2を制した昨シーズンを含めて、8勝3分けと「連敗なし」を継続している。 青森山田高から異例の転身を遂げた昨シーズンから、黒田監督は「失点」と「連敗」を頑なに拒絶するメンタリティーをJ1未経験の町田に植えつけてきた。それらを体現する手段として球際の激しさや相手を自陣に侵入させない守備、攻守の切り替えの速さ、さらに攻撃ではロングボールやセットプレーを重用してきた。 真価が問われる状況で迎えたマリノス戦では、先制されても誰も下を向かずに、同点とダメ押しをセットプレーから、逆転弾を攻守の切り替えの速さからそれぞれもぎ取った。12勝目で初めて逆転勝利を収めた黒田監督が手応えを口にする。 「連敗しない、という状況を偶然ではなく、必然として選手たちもとらえている」 マリノスに負けていれば、16日に新潟戦をひかえる鹿島に抜かれる可能性もあった。黒田イズムの原点を実践する試合内容で天皇杯ショックを払拭し、最終的には圧勝した町田は依然としてJ1戦線の首位をキープ。シーズンの折り返しとなる22日の次節で首位ターンをかけて、ホームの町田GIONスタジアムにアビスパ福岡を迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)