巨人継投ノーノーの裏に山口の代え時を見誤らなかった高橋由監督の絶妙手腕
巨人に横浜DeNAからFA移籍した山口俊(29)が14日、東京ドームで行われた交流戦のソフトバンク戦に移籍後初先発、6回を投げノーヒットに抑えると、マシソン、カミネロとつないでセ・リーグでは史上初となる継投によるノーヒットノーランを達成した。1リーグ時代に2球団、2006年6月には、日ハムが同じくソフトバンクを相手に八木智哉(現中日)、武田久、マイケル中村の3人で延長12回で成し遂げて以来、4球団目となる。また継投による完全試合は2007年の日本シリーズで中日の山井大介ー岩瀬仁紀が記録している。 山口俊が泣いた。頬から涙が川のようになって流れた。 「長かった。FAできて凄く迷惑をかけたので」。感極まった。Vの使者としてFA移籍したが、昨年の終盤から痛めた肩の故障の回復が遅れて復帰までに時間がかかった。その間、チームは球団ワーストの13連敗。「金の無駄使い」「FAの失敗」と、まだ2軍で投げていた山口も低迷の原因だと槍玉に上がった。 この日は、打者の手元で伸びるストレートにフォークが冴えた。4回まで毎回の7奪三振。ソフトバンク打線を寄せ付けずに6回までノーヒットノーラン。だが、7回の表に高橋監督がベンチから出てくるとドームがざわついた。記録が続いているのになぜ? というような反応だった。 「復帰初登板ということで、最初から力も入っていたと思う。ピンチも乗り切ったし、今日はこのくらいまでかな」という高橋監督の決断だった。 6回は、先頭の長谷川に四球を与え、バントで送られると、ムネリンを迎えた場面でテイクバックの際にボールを落とすという珍しいミスでボークをとられた。握力の低下を示すシーン。三塁に走者を進め、川崎にも四球。完全にアップアップだった。今宮をセカンドゴロに打ち取ったが、球数は105球。記録か? 勝利か? の選択視があるならば、高橋監督が記録という情よりも先に山口の疲れを感じ取ったのも不思議ではない。 試合後、山口も「(6回で降板?)どうですかね、僕自身疲れていたので」と答えた。 そこからマシソンが7回を三者連続三振の快投で2イニングをつなぎ、再び1軍復帰したカミネロが、9回を締めて継投ノーノーをやってのけた。 評論家の里崎智也氏は、この山口の6回降板が「絶妙のタイミングだった」と見た。