巨人継投ノーノーの裏に山口の代え時を見誤らなかった高橋由監督の絶妙手腕
「山口は初登板の緊張もあって堅くなったのはしょうがない。それでもフォークはよくベース板の上で落ちていたし、手がゆったりと遅れて出てくることでバッターがタイミングも取り辛く、手元でストレートが伸びていた。上々のスタートだったと思う。6回は、ボールを落とすボークもあったり、汗を異常にかいていたりと、疲れのサインは出ていた。交代のタイミングは絶妙だったと思う。 もし、記録を念頭に続投をさせて7回、8回までノーヒットが続くならば、なおさら代えにくくなって、代えると、なぜ? という声が強く起きる。6回ならば、“故障明けだし、100球も超えているしね”と本人もファンも納得がいく。迷わずに6回でスパっと代えたのは、最もいい代えどきだったと思う」 確かに続投をさせてノーヒットが続くと、なおさら代えどきが難しくなるし、点差を考えると1本のヒットから傷口が広がってしまう可能性さえある。星野仙一氏ら実績も経験もある監督は「最も采配で難しいのは継投のタイミング」と口を揃えるが、高橋監督の絶妙の采配が、セでは史上初となる継投ノーノーの記録と共に、チームの勝利を導いたとも言える。 山口も疲れを残さず気持ちも上向いたまま次の登板に臨めるだろう。 巨人は13連敗もしたチームとも思えぬゲームで連勝。高橋監督の試合後のコメントも「勝っているのは、ミスも少ないから。だから粘り強い戦いができる。こういう試合を勝っていくことでまた流れが良くなってくる」と手ごたえのあるものに変わってきた。連敗も幸いにして交流戦だったため3位の横浜DeNAとの差は2.5差しかないのである。