新NISAを利用するために「証券口座」の開設が必要だといわれたのですが、普通口座とどう違うのでしょうか?
確定申告が必要か・特定口座と一般口座
NISA口座は非課税ですが、それ以外の口座はすべてが課税対象になります。その中で、個人で確定申告をしないで済むのが、「特定口座(源泉徴収あり)」です。この口座は、口座のある金融機関が、投資家に対して、年間取引報告書の作成と、それに伴う所得税の納税を行ってくれます。投資家からみれば、細かい計算が一切不要です。 実際に課税口座を保有する個人の投資家のうち、9割以上がこの「源泉徴収あり」の口座を選択しています。手間が省けるというメリットがある半面、所得の少ない方でも売買益に一律20%が課税される「源泉分離課税」という仕組みです。 一方で、事業所得など他の所得が多く、20%を超える所得税率の方には、売買益に20%の課税で済むのは好都合です。もし年間で損失が出た場合は、その損失額を翌年に繰り越し合算もできます。これはNISA口座ではできないため、課税口座のメリットです。 もう1つの「特定口座(源泉徴収なし)」は、証券会社が年間取引報告書は作成しますが、源泉徴収はしません。各投資家が他の所得と合わせて、確定申告を行い納税します。 これを選択する方の多くは、他の収入が少なく、投資による売買益の20%を所得税として支払うのが不利と考える方の場合です。確定申告をすることで、納税額が減額されるため、多少の手間でも選択する意味はあるかもしれません。 さらにもう1つ「一般口座」があります。これは投資家自身が、年間報告書の作成から確定申告まで、すべて行うものです。 この口座を利用している方は、かなり少ないかと思われます。実際に株式等を保有し続け、売買もほとんどしない方であれば、取引報告書の作成や確定申告もそれほど苦にはならないかもしれません。実際に株式の売買を頻繁に行う方の場合は、非常に手間のかかる作業となるため、推奨はできません。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
ファイナンシャルフィールド編集部