仏具大手・はせがわの「推し壇」人気 アニメ好き20代社員が開発
神仏やご先祖様ではなく、好きなキャラクターやアイドルの「推し」をまつってほしい! そんな発想で生まれた祭壇「推し壇」が、若い世代を中心に共感を集めている。仏壇・仏具販売大手のはせがわ(福岡市)が昨年10月に販売を始めた。「本格的で推しをあがめるのにぴったり」と雑貨店でも取り扱われる人気商品を開発したのは、入社間もない20代だった。 (横田理美) 【写真】自宅の「推し壇」に、応援するキャラクターが詠んだ俳句を飾って楽しむ人もいる(大橋蒼さん提供) 推し壇は、神棚に似た造りをしている。国産ヒノキが使われ、大きさは横幅30センチで奥行き15センチ、高さは飾る物に合わせて最大46センチまで4段階変えられる。“ステージ”は20色の発光ダイオード(LED)のライトで照らす。オレンジにも赤から黄に近い3色があり、「推し」を自分色に染められる。価格は9900円だ。 はせがわ商品開発部の郡司茉采さん(25)が開発した。入社2年目に応募した社内のチャレンジ企画がきっかけ。アニメが好きで、一押しのキャラがいる。「仏壇から解釈を広げ、それぞれが大切にするものに手を合わせてもよいのでは」と提案した。 一方の会社側は「異色の商品で驚いた」(広報担当)という。ただ、心の平和と生きる力の実現という企業理念に合うと判断し、採用を決めた。「若い人が今後、(年齢を重ねた際に)はせがわを頼ってくれるきっかけになれば」と商品化に動いた。 同社がX(旧ツイッター)公式アカウントで販売を告知すると、投稿は1日で1万回以上共有された。販売初日には増産を決定。今年4月、アニメグッズ専門店「アニメイト」と雑貨も取り扱う書店「ヴィレッジヴァンガード」がそれぞれの公式サイトで、はせがわの推し壇の取り扱いを始めた。 交流サイト(SNS)には、アイドルの人形やアニメキャラのぬいぐるみを置いて楽しむ投稿があふれる。東京の派遣社員、大橋蒼さん(25)は、応援する特撮キャラが作中で詠んだ俳句を色紙にしたためて飾っている。「推し壇の崇高な雰囲気がキャラの生き方を信仰するのにもってこい。横長の商品も作ってほしい」と要望した。